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〇〇ちゃん

〇〇ちゃん
ずっとそばにいたはずなのに1番遠く感じるの
だいすきだったけどだいきらいだったの
ずっと叶わない敵わない君にかなわないの

今は忌まわしいセーラー服が羨ましくて仕方がない。脱ぎたくてぬぎたくて仕方がなかった
クローゼットから精一杯の嘘を引っ張りだして
生活に幕を張って生きるしかなかった
本当の僕はどんどん薄れていって
どんどんクローンになっていったの
いつでも僕はどこかで他人と同じでいたいと願ってけれどどこかで誰とも違う何かでいたいと強く強く願っていたの。

2人で歩いているとみんな
君の事をみつめているの
2人の話題の時はみんな
君の話しかしていないの
2人でいることに意味があったのか僕にはわからない劣等感だけが植え付けられて知らない誰かに僕の心がぐちゃぐちゃにされていたの
それが目に見えて分かっていても君は気づかないふりをしていてずっとずっと〇〇ちゃんになりたかったのはやく〇〇ちゃんに追い付きたかったの。

僕がどんなに頑張っても君には似ても似つかなくて全て君の真似事のように思えて
苦しくて海の中で溺れているみたい
比喩表現ではなく本当に溺れていたんだと思う
水が僕の身体を埋め尽くして声がでなくなるの
君が堂々とピンクが好きと言えるのが
ずっと羨ましくて仕方がなかった。
君が堂々といちごが好きと言えるのが
ずっと羨ましくて仕方がなかった。

君と僕の距離は近すぎて
君がなんで僕を好いてくれているかが
わからなかった答え合わせがしたかった
君がなんであの時僕を選んでくれたのかが
わからなかった答え合わせがしたかった

生活が変わって近くにいた君は1番遠く感じて疎遠になった。君のこと忘れた事は一度もなかった。そんな君と7年ぶりに再会したの。
すれ違った瞬間すぐにわかった。
君は昔のままだった。
君はあの時からなにも変わっていなくて
変わり果てた姿の僕が愚かで醜く思えた。
僕が君より痩せていても僕が何度もメスや糸を使っても髪を金髪に染めても僕が君より美しくなっても君には完敗だった。君は本当にかわいい。
だいすきで大嫌いな君は本当にかわいい。

君は僕に気づいて耳元で囁くの
「ミユちゃんかわいいだいすきだいきらい」

僕と君の腕には生命線を描き伸ばした跡があって
そばにいない間に君はどんな人生を歩んだんだろう。出来るだけ出来るだけね、不幸せだったらいいな。僕は君と離れてからずっと幸せだったから。きみは不幸せだったらいいな。きみの不幸せを願う僕を嫌わないでほしい。
君にとっても〇〇ちゃんが僕でありますように。
僕の不幸せを願っていてね。約束だよ。

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