白内障手術のこと

2012年12月に4日間入院して、両眼の白内障手術を受けました。

白内障はどんな病気?

一言で言えば、眼の老化現象です。シミやしわが出来るようなもので、網膜が白濁して視界に霞か霧がかかったように見える。手術で眼内レンズを入れる以外に視力が回復する見込みはない。逆に緑内障などと違い、失明する恐れがあるような病気でもありません(ほとんどの場合)。日帰り手術も可能です。

もともと目が悪く、小学校入学前に逆さまつ毛の手術、小学生の頃には眼科医通い、メガネ・コンタクトレンズとは長いお付き合い。数年前からそれまでのハードコンタクトレンズからソフトコンタクトレンズに変えていたため、数カ月おきに定期検診を受け購入していました。眼科医に行く頻度は、平均すると3ヶ月に1度くらいでした。

白内障が分かったのもその定期検診の時。自覚症状があったのは2012年3月。ものが見えにくくなり、最初は視力が落ちたのかなと思ったけど、白くもやがかかったように見えるようになり。コンタクトレンズが汚れたのかな?使っていたのが2ウィークのソフトコンタクトで、取り替えてみたけど変わらない。視界がチラチラするようになり、夜は特に見えずらい。とくに右目がひどい。検診の時に先生に伝えると「初期の白内障」との診断でした。それでも左目は大丈夫だったし、普段はなんの問題もなかったけど、だんだんモノを見る時に左目に頼っているのが自分でも分かって、その年の夏に久しぶりに仕事で車を運転することになり、夜ハンドルをにぎるとかなり視界が狭い。これはまずいと思いました。

日帰り手術か、入院か

お世話になっていた眼科医には入院設備がなく、週一回日帰り手術を行っていました。主治医からは、右目だけではなく左目も白内障が始まっているので、両眼手術して視力を上げる方法もあるとアドバイスされました。白内障手術は白濁した部分を取り除き、眼内レンズを入れて矯正します。眼内レンズは半永久。まれに合わなかったりで再手術することがあるそうですが、一度入れたらずっとそのまま。白内障手術は片目ずつ日を空けて行われます。これも普段の生活を続けるためや、トラブル回避の目的があるようです。日帰り手術だと病院のスケジュールで必然的に1週間、間が開くことになります。さらに雑菌の混入を防ぐため術後1週間、濡れタオルで顔を拭くことはできますが、洗顔禁止。お風呂は術後2日目から、洗髪も同じく術後2日目から、但し目に水が入らないようにしっかりと目を閉じて、また眼の周りをこすったり触らないよう注意しなければなりません。眼球にメスを入れているので、そこから雑菌が入って炎症を起こすトラブルが一番怖い。家族に相談し、いろいろ検討した結果、日帰り手術ではなく入院して手術を受けることに決めたのが11月、主治医から市内の入院設備がある眼科医を紹介してもらいました。偶然、子どもの頃にお世話になったことのある市内でも有名な眼科専門病院でした。手術を前提に検査、診察をしてもらい手術日を12月中旬に決めました。紹介していただいた先生は副院長で学会などでお忙しく、日程が合うのがその時期だったというのが1つ目の理由。

2つ目は、お正月明けに前々から依頼を受けていた仕事が決まっていて、回復期を考えるとそれより遅くできなかった。依頼してくださった方には以前からお世話になっていたので、万全の体調で臨みたかったからでした。ところがここでうっかりミスが発覚。手術前に決まっていた仕事の予定を読み違え、仕事の最終日が手術入院の日にまるかぶりになってしまった。代わりに仕事してくれる方が見つかり、後半を引き受けてもらえることになったので事無きを得ましたが…。

手術にあたって調べたこと

白内障とわかった時は正直戸惑いが強かった。手術は日帰りか、入院手術にするのか、仕事に復帰するまでの時間がどの位かかるのか、化粧はいつごろからできるのか(術後しばらくは顔を洗えない。仕事で人前に立つのでこれは重要)、お金はどの位かかるのかとか、わからないことだらけでした。ネットで調べたり、実際にネットで専門医のアドバイスを有料で受けたりもしました。お金に関する不安は生命保険と社会保険があったので、危惧に終わりました。結果から言うと、両方合わせてむしろプラスになり休業補償をもらった感じです。

入院から手術、退院まで

入院当日、案内されたのは4人部屋。同じ日に入院した60代後半の患者さんと同室で、その方は同じ白内障でも片目の手術での入院だそう。私が両眼手術すると言うと驚いていました。

1日目は入院手続き、所定の室内着に着替え、検査や準備、そして手術。手術室に呼ばれて、30分弱で終わります。実際に執刀しているのはたぶん10分前後。ビックリするくらい早いです。麻酔が効いているため、術後は病室で2〜3時間動けませんが、トイレも付き添ってもらって行けるので、不自由はありませんでした。手術2時間前くらいから何も食べられませんが、術後は起き上がれるようになったら食事できます。最初に受けた右目の手術の時は、食事を病室に持ってきてもらいましたが、左目の時には夕食から、自分で食堂へ歩いて行って食べました。

2日目は休息、点眼薬投与、3日目は左目の手術、4日目に退院。入院中に、一度髪を洗ってもらいました。院内に設備があって、看護師さんが洗ってくれました。気持ちよかった。お風呂は帰宅してから、顔に触らないよう、注意して入りました。

自分の経験に限れば、術後の経過も順調でトラブルもなく、いいことばかりでした。物心ついて初めて矯正なしでモノが見えて(小学生から仮性近視で眼鏡着用)、こんなにも楽なのかと感動しました。術後に帰宅する時に、外に出て交差点の信号の住所が読めた時に、「うわぁ〜見えるよ〜〜」と心の中で叫んでいました。眼科の手術を受けるのは生涯で3度目、1度目は就学前に受けた逆さまつげ、2度目はオーストラリア在住時に日帰り手術でまぶたにできた良性の腫瘍の切開、意識してなかったけど慣れているのかな。手術よりもむしろ休業の不安の方が大きかった。

白内障は他人事ではない

白内障と言ってもピンと来ない人がほとんどだと思います。当時、アラフィフで、若い方だと言われました。40代で発症する人もいるそうです。

最近になって(2020年夏)、知り合いに白内障と診断された人が増えてきました。手術について聞かれることも多くなったので、誰かのお役に立てれば。

*術後しばらくして、白内障手術で左右のレンズを入れ違えたというニュースがありました。私にはよい選択だったし、お医者様にも恵まれたのかな。こういう時、子どもの頃から眼科医とお付き合いしていて良かったと思いました。

*2020年11月、加筆訂正済み


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