尾崎豊と僕②
アルバム『回帰線』の中で一番好きだった曲は、「群集の中の猫」という曲だった。元はフォークソングっぽいんだろうけれど、尾崎が歌うと違う世界がそこに現れた。
「ダンスホール」や「teenage blue」のような曲も、自分の住む世界とは異なるけれど、なんかわかるって感じだった。
尾崎が歌う世界はみんなそうだった。
自分とは違うけれどなんかわかる。でも、そうなりたいってわけじゃないけど、自分は自分らしく生きてゆきたいって思える感じ。
そういう意味では、ファーストアルバムの『十七歳の地図』に収録された、「僕が僕であるために」はまさに自分にとって、ドンピシャな曲だった。
自分を理解してもらったり、自分を表現したりし続けるためには、世の中で勝っていかなければならないということ。
それは本当にそうで、いまだにそうなんだ。
尾崎の曲の中で一番好きな曲は「僕が僕であるために」であり、また、3枚目のアルバム『壊れた扉から』の中の「forget me not」である。
この2曲には絞れても、どちらか1曲だけにと言われたら困ってしまう。それぐらいどちらも大切で、僕の人生に欠かせない歌になっている。
「僕が僕であるために」は、中学3年の卒業文集の自分の割り当てのページに歌詞を全部書いた。けれども、誰の詩であるかは書かなかったので、おそらく担任の先生は僕がこんな詩を書くのかと思って驚いたことだと思う。
それぐらい尾崎の曲は僕の中で大きかった。
同時期に佐野元春さんも好きだったし、佐野さんも僕の人生にとてつもなく大きな影響を与えた。
ある雑誌のインタヴューで、尾崎が「佐野さんからしてみれば、自分の曲はまだ未熟だと思うかもしれない」というような内容のことを答えていた記憶がある。
それは二人の曲やインタヴューなどを比べてみるとよくわかった。
簡単に言えば、ストレートであるか、あるいはポップのオヴラードに包まれているかの違いであった。
どちらも理解できたし、どちらにもそれぞれ魅力があった。
むしろ、僕は佐野さんの側にいたかもしれない。
だから尾崎を少し達観した眼で見ていたような気もする。
それにしても、尾崎の「僕が僕であるために」と「forget me not」は間違いなく、一生好きな曲になった。
少し話を戻す。
中3の冬だったか。代々木オリンピックプール第一体育館のライブがテレビで放映された。のちにライヴアルバム『LAST TEENAGE APPEARANCE』として、発売されたが、このアルバムの尾崎のパフォーマンスはすごかった。
夜中にテレビで放送されたのをビデオデッキでVHSビデオテープに録画して、何度も何度も何度も観た。
やっぱ尾崎のライブはスゴイと思った。
つづく
読んでいただきましてありがとうございました。また、次回お会いできたらうれしいです。
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