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新版K式ってなんだ?①

大阪市で言語療法を行っていると、発達検査として新版K式発達検査の検査結果を持って来られる方が多いです。障害者手帳を未就学児の段階(WISCを取れない場合には小学生以上も)で検査を行い診断の補助として使う場合が多いです。その中で新版K式発達検査はどういったものなのか、この検査で何がわかるのかを伝えていきます。
1 新版K式発達検査の概要
2 新版K式発達検査で分かる事
3 なぜ新版K式発達検査を行うのか

1 新版K式発達検査の概要
適応年齢:生後100日ごろ~成人(生活年齢として14~5歳レベル)
分類:発達検査
特徴:姿勢―運動領域(P-M)、認知―適応領域(C-A)、言語―社会領域(L-S)の3つの領域から総合的に発達を測定していく。
他の検査との違い:
・言語発達検査等の他の検査と違って全般的な発達の状況を把握することができる。
・適応年齢が幅広い。
・一方で、新版K式発達検査について精通した者が検査を行わないと、検査結果として信用性が低い。
注意点:
・新版K式発達検査について研修を受けているものでないときちんとした結果が出ない
・普段の様子と検査場面・検査を行う人が違うので、実態と乖離した結果が出る場合もある
・学習効果を考慮して検査を行う必要がある
・上記と重複するが、検査結果を参考に療育を行う場合、検査内容と同じことを行わないようにする
 →療育によって検査結果が歪んでしまう
②新版K式発達検査で分かること
・生活年齢に対しての発達指数(DQ)を出すことができる
 →参考指標として、子どもさんの現況を把握できる
・3領域の中で発達としてバランスが取れているのかがわかる
 →どうしても、言語発達の遅れがある子どもさんの場合には言語―社会領域が低く出
  てくる傾向がある
 →発達のバランスが崩れていると子どもさんとしてもしんどくなってくるかも
・今後の家庭学習、療育における支援内容の参考になる
 →どこまで発達課題として達成ができて、どこからできていないかわかるので療育の
  内容を考える際に参考になります。
*発達指数=〔発達年齢(DA)÷生活年齢(CA)〕×100
 →新版K式発達検査では標準化されているので平均値は100となります。
*「標準化」とは簡単に言うと正規分布図になるように調整されていることです。
③なぜ新版K式発達検査を行うのか
 新版K式発達検査を行う意義としては、
・その子の全般的な発達が確認できる
・療育手帳を取得するのに必要になってくる
・発達の経過をたどることができる(療育等の成果を確認できる)
・療育や家庭学習を行う参考になる
では、なぜ全般的な発達を把握することが重要になってくるのかと言うと、言語発達の遅れを見ていく中で、認知面での発達の遅れなのか社会面での発達の遅れなのか把握すること言語発達の成長を促す言語療育を行う中で重要になってきます。つまり、言語発達の遅れにどういった原因でなっているのかを把握することで効果的な言語療育を提供しやすくなると思います。(もちろん、言語検査を適切に行うことも前提にありますが)
新版K式発達検査など発達検査や知能検査・言語検査等、専門職が行う検査はたくさんあります。その中できちんと保護者さん、本人に説明し訓練の計画を立てられることが専門職の職責であると私は思っています。

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