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「何を言っているのかわからない」って何が原因?

子どもさんと話をしている時に聞き取りにくいという場合があります。そういった場合、主に3パターン考えられます。①言語発達が遅れていて、内容がちぐはぐになっている②構音障害が疑われ、構音動作(発音の仕方)に未熟さやおかしな癖が見られる③①と②のどちらも見られる、が考えられる。ここでは、構音動作の未熟さからくる発音の不明瞭さについて解説していきます。

図1


*年齢は生活年齢ではなく、身体年齢や精神発達年齢を指します。
*研究者によって差はあるものの、ここでは「ら」行「さ」行などの獲得は5歳前後となっています。
〈参考文献〉
岩淵悦太郎他(1968) ことばの誕生 : うぶ声から五才まで 日本放送出版協会
本間慎治他(2000) 『言語聴覚療法シリーズ7機能性構音障害』建帛社
以上の表のようになります。最終的な構音の完成は9歳といわれており、その年代までの構音の未熟さは見られます。例えば、小学校に入学しても「ら」行や「さ」行において、「らくだ」→「だくだ」、「なくだ」であったり、「すずめ」→「しゅじゅめ」のように置き換わることはよく見られます。(少し誇張していますが)
では、言語聴覚士が構音訓練を行うケースはどういった場合に訓練を行うのか。それは、いわゆる“異常構音”と言われる場合です。更に難しくなりますが異常構音は口蓋化構音、側音化構音、鼻咽腔構音、声門破裂音と呼ばれるものです。私自身としても「り」を発音しているつもりが「ぎ」になってしまう、あるいは構音しにくいという場面がありました。こういった場合には側音化構音によって「舌を歯にあてて弾く」動作が「息が横から抜けていき、歪みが見られる」状態になります。そういった、通常の構音動作では見られない運動を行っており、それが継続している、あるいは同じ音で継続して出ている状態が続いてる場合(浮動性がない)に構音訓練を行います。こういった構音障害のことを機能性構音障害といいます。逆に、構音の未熟さがあるこのまま発達が進んでいくと正常な音の獲得が見込まれる場合には経過観察を行う事が多いです。その理由としては、構音獲得の妨げになる場合もあるために経過を見つつ進めていくことが多いです。また、小学校に進学するにあたり文字を読めるようになる、書けるようになるために発音が改善するケースも見られます。
発音において「何を言っているのかよくわからない」「よくお話ししていても聞き返されることが多い」などがあれば、お近くの言語の専門家に相談していただき、経過観察でよいのか、訓練をしてもらうほうがいいのか確認するといいかもしれません。






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