魔性の女は美しくありたい。

ーーー美魔女。

歳に反する美貌の持ち主。
彼女の周りだけが、我々と異なり、時が緩やかに過ぎていくようだ。

時の流れには逆らうことはできない。
地球が自転し、太陽と月が昇り沈みを繰り返す。
時間という概念の中で、世界が動く。

24時間が48時間になればいいのに。
子供の頃は、1日が長くて仕方なかった。
大人になってからは、歳を重ねる毎に、
1時間が、1日が、1年が、短くなっていく。

それは時間に対して鈍感になっているからだと思う。

人は時間の経過を恐れる。
それは、死が近づくからだ。
すると急に時間を大切にしようとする。
日記を綴る。生きた証を残すため。
自分の存在価値を後世に伝えるのだ。

女はとても臆病な生き物だと思う。
自分自身を映す鏡が怖い。
皺が、シミが、くすみが、私を死に向かわせる。

廃れた物には価値はない。
割引シールを貼られないように、今日も私は生きるのだ。

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