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9/12『無題』改め、汚名返上/ZORN

2021.09.12 武道館の日と同じく、今日も曇天。
日中の横浜は雨もパラついたのかな?開始前、外せない用事があった&なるべく滞在時間短くしたいということもあってグッズはパス。
少し前に新横には着いてたんだけど、入場開始ちょうどくらいに横アリへ向かって歩き始めて、白黒カーキの3色でほぼ構成されているような人の群れに少し可笑しくなる。いつも通り柄の悪めな人多めだけど、割とみんな静かだった印象。今までだったら割と当たり前の光景にも「うわ、人多いな…」と感じてしまう感覚の変化に少し戸惑ったりもした。

ちなみに私はTシャツもパーカーもキャップも絶望的に似合わなくて、私服でTシャツを1枚も持っていないようなコンサバ女なんだけど、今日はUn titled白Tに黒のパンツで。(グッズ付きチケット買ったけど、今日着なければ一生着ないと思ったから…)

さて話を戻すと、こんなご時世の中のライブだし先日の某フェスの件もあり正直参加は悩んでた。Twitterにも元気いっぱいに「行きまーす!!」って書く気になれず、友人知人や会社の人にはとてもじゃないけど言えなかった。ただでさえ好きなものを観に行くだけでこんなに後ろめたい感情や不安を抱かないといけない世の中が悲しいのに、その風潮に油を注いだあの件は本当にあれです。

会場に着くと、持ち物検査でアルコール飲料持ってないことを確認&検温・消毒、入ってからもあちこちに靴の除菌マットや消毒液があって、不織布マスク着用等のアナウンスも常に流れてた。
開演を待つ時間もぽつぽつと話している人はいたけど、基本的に静かな人が多くて、ちゃんとしようっていう雰囲気だったんじゃないかなーと思う。少なくとも私の周りにはそんな変な人いなかったかな。

武道館があまりにも完璧な、夢のようなステージだったこともあってそことの差別化をどうするのかっていうのが事前の注目ポイントだったと思うし、成功体験をなぞるようなことはしないだろうなーと楽しみにしながら開演を待つ。

18時、改めて感染症対策と撮影禁止へのアナウンスがあり(見つけた場合、全データ削除を求めると強めの語気で言ってくれてて良かったです)
事前に予想してた人が多かった通り、Lostの「俺はここだ 当てろ照明」からスタート。衣装は革ジャンに赤のタータンチェックのパンツ。

お約束になりつつある「立てー!!」に合わせて、一部上がる声にシー🤫ってやってたZORNの、険しい顔の色気が凄かったです。笑

新譜の925からLost含み3曲くらいやってshinkoiwaに。DJプレイが派手めで、TATSUKIの見せ場だった気がする。途中I wanna Be A Rapstarのスクラッチも入ったような…(入ったよね?たまにライブで幻聴聞くから自信はない)
その後、No Pain No Gainからの百千万という客演曲を客演なしでバンバン序盤に入れ込んでいく流れ。
Kill En AllでZORN扮するリヴァイ兵長に斬られていた敵キャラの動物?たちは誰かを表してたのかななんてちょっと勘繰ったり。(性格の悪い私は🦓探してしまった)
からの、Wonder Infinity「俺"も"最強だ 座右の銘」に上がるテンション。

Life Storyのビートに合わせて1回めのMC。今回の公演タイトルを四字熟語にしたくて、格好いいものを探していたけど一刀両断とか一球入魂とかそんなものばかりが浮かんで、結局は仮タイトル「無題」のまま、締め切りが来てしまった。でも今になってぴったりのタイトルが浮かんだ、それは「汚名返上」だと。多分その場にいた人は何のことを言ってるのかすぐにわかったと思う。少し空気がピリッとしたように思いました。(この話のBGMは何でも良いというわけではなく意味があったんじゃないかと思うし、フジロックで分断に繋がりませんようにと言ったBOSSの言葉が脳裏をよぎった)

正直「無題」というタイトルは、My Lifeの「"題名なんてついてない日" 握る小さな手とMIC」から来ている=横アリという大きな舞台の日も、特別な日ではなくあくまで流れていく、無題の日常の一片みたいなニュアンスで付けたのでは、とか勝手にそんな解釈をしてたので…考えてる間に締め切り来ちゃったなんて、そんな裏話があったんだ。って思いました。笑

前回の武道館も声を出してはいけない状況は同じだったけど、その時の「歓声は、極力 極力お控えください」と言った悪戯っ子っぽい表情ではなく、あくまで真面目に語っていて本気具合を感じました。

そのままLife Story、Walk this way、Don't Look Backと続き、換気タイムへ。

換気を挟んでの二部は、オーケストラ構成。衣装はカチッとしたスーツ風。
「僕の背後の黒服集団、お馴染みのHomiesです」というシュールな紹介に、声の出せない笑い。声出ないのに笑い取りに行かないで欲しい 笑
その後、コンマスの人に向かって「としや、昨日アレ売れた?気をつけろよ」と絡んでいて、ここでも何というか声にならず漏れる笑い。

今更ですけどLove 1曲目の「in」はいつかオケ編成のライブをやることを想定してのイントロだったのかなと思いました。昭和卒業時にはここまでの青写真をある程度描いてたのかなと。
オケ構成全体的に好きだったけど、個人的にはかんおけがとても良かった。ビートの奥行きというか複雑さというか、生演奏で重厚感の増すO.N.Oビートに痺れたよね。(快癒されたかしら)

オケ隊が出てきた時点で絶対やるなって思った新しい日々はとても美しかったし、上級国民のソーセージはお弁当の赤いやつではなくシャウエッセン、ということで横アリのモニターにウィンナーを茹でて炒めてる動画がいっぱいに映し出されて、一瞬いま何を見せられてるんだって気持ちになった。笑"なんていうか、うん。ちょいちょいシュール。  

Letterでは、としや(コンマスの方)のソロが素晴らしかったしあとどれくらい…のバースの後に「もうどれもできねぇな」って苦笑いしたZORNの顔にエモい気持ちになってしまった。
My Loveの「成功と平凡見比べて やっぱこっちだったなとお前に言いたい」では成功の方を取ったように見えたんだけど、Twitterでも同じ感想を見かけたからそうだったみたい。どこまでも突き進む覚悟なのかなと思ったりしました。
(※これ後日「普通に間違えた」と本人が言及してた)

葛飾ラップソディー・柴又の夕焼けは、WeDyの代わりにコーラス隊で新鮮だけどとても良かった。奮エテ眠レのオケverも格好良かったし、ありがとうアレンジではない(横アリのステージと言い換えた以外は)原曲リリックのMy Lifeも良かった。My Lifeを改めて聴くと、Lostとの対比が色々あって何とも言えない気持ちになる。金ピカのチェーンは持ってなかったけどクロムハーツから連絡きて、高級車に乗ってなかったのがベンツになって…「My Lifeの頃だと言った」というリリックの重みを改めて感じた。

このタイミングのMCだったと思うんだけど「あの日あの場所に皆さんの好きなラッパー沢山いましたよね?僕の好きなラッパーも沢山いました。みんなで待ちましょう。」と言っていた。固有名詞はなくとも、何の話をしているのかは全員共通理解だったと思う。

MCで、HIPHOPというのは最高の言い訳だと言っていた。言い訳が全てリリックになる、と。どんなこともその後の立ち振る舞いで芸術に昇華出来るし、だからこそ武道館の時に行っていた「逆境でこそ輝く音楽」ってことだと思う。
無題⇨汚名返上っていうのも、ネガティブな事象にストーリー性を持たせてしっかり意味のある公演という位置付けになっていたと感じました。

そして、この流れで家庭の事情。音源の歌うような調子とは違い「うるせえ黙れ ほっといてくれクソババァ」の吐き捨てるようなイントネーションにゾワッとして、でも「バカ息子観てるか 横浜アリーナ」でふっと安堵で空気が緩んだようなそんな印象。ここで第2幕の終了。

で、換気タイムを挟んで映像が流れる。この寸劇挟む感じは昭和流というか…笑"
灯りをつけてほしいとのことで、サイリウムをポキっと折る。横浜ということもあり、一面のブルー。HIPHOPの現場では珍しかったけど、美しかったなぁ。

末娘さんに恐竜図鑑を読み聞かせる姿にほっこり。これはステゴザウルス、これはティラノサウルス🦕🦖
この時点で、正直展開読めて「あ!」って思って………
ページを捲ったところにはOZROSAOUS MACCHOの姿が。
ここは流石に、一瞬声出しちゃってる人が多かった気がする。
その後MACCHOが登場してAREA AREA、REP。そしてEVISBEATSビートの新曲、Rewind。OZROSAURUS名義でfeat ZORNとのこと。

MCで饒舌なMACCHO。こんなに長尺で喋るMACCHO珍しいし、話している内容に泣いてしまった。

「好きです。ずっと聴いてます。」と言ってくるラッパーはたくさんいるけど、それだけじゃあ本当の意味では共鳴しないというようなことを言っていた。(共鳴、というワード多用してたように思う)
そして、ZORNが送ってきたリリックに横っ面を張られたような気持ちになった。ラッパーなんて、基本的に皆自分が一番だと思ってるけど、心底他のラッパーに痺れるってことがあるんだなと(ZORNに対して)思った。尊敬するとも言っていた気がする。
この辺りの話してる時のZORNの表情よ……って感じでした。

AREA AREAは90年代からある曲で、20年以上経って初めて公式のRemixがうまれた。ZORNにだったらAREA AREAを託しても良いと思ったと言っていてここで号泣した。

Remixを作ってRepを作って…ここでこのストーリーは終わらなくて、次はOZROSAURUSの新曲にZORNを迎える形。1曲だけど、この1曲は紛れもなくOZROSAURUSの歴史の大切な節目になったとも言っていたと思う。
MACCHOにここまで言わせるなんて………と思って更に涙腺崩壊してました。

OZROSAURUSとしては2017年以来の新譜になるのかな?GM抜けて一発目??文字通り、ここからRewindして欲しいな。いつまでもアルバム待ってるので…

最後に声を出させたそうなMACCHOと止めるZORNの寸劇?ガチ?からの「マスクを外さず、だーまーれー!!!」という斬新な煽り?に、全力のサイリウムで応えるヘッズ。

MACCHOがはけてEVERGREEN。この曲のリリック全てが「世代」って感じでエモいし、やっぱりOZROSAURUSはこの世代の青春の象徴の一つなんだよねぇ〜って感じ。
All my homiesでは「スーパーアリーナやっからよ」と言ってた。「●●やっからよ成人式やった場所」の言い換えにドキドキするのが恒例になってきた。どこまで行くんですか、小箱もやってね。

MCで、最近のZORNは疲れて見えるとか一部で引退の噂が…みたいなことを言っていて、確かにここ最近の動きとかリリックを見てると「やり切りました、未練はないです。ありがとうございました。」とか言い出しかねないような雰囲気を醸し出していた感はちょっとあったので、少し安心した。
皆さんに報告があると言って切り出したのは、仕事を辞めたこと会社を立ち上げて音楽一本になったこと。
「普通の仕事をしているZORNが好き」という人が多いからいうのが気まずかったけど、より良い音楽を作るためなので出来ればポジティブに捉えてくれると嬉しいです。と言っていて、あぁ昭和卒業の時と同じような言い回しだなって何だかとても懐かしくなってしまった。

最終曲のStay Goldの前に言っていた「変えたくないことは、変えない努力をしなくてはならない」という言葉がとても胸に刺さった。自分自身も周りの人間関係も放っておいたらどんどん変化していって、それでも自分が変えたくないことがあれば自分の意思で、変えないための努力をしないといけないんだと改めて。

去り際のZORNはいつも通り上下手に深くお辞儀をした後に、TATSUKIへの拍手を求めて、最後に「規制退場、係員の指示に従って退場してください、そこまでがショーです。みんなで取り返しましょう」と言っていた。HIPHOPシーンへの、信頼を取り返す的な意味合いだと思うけど、本当にコツコツと、シーン全体で失ったものを取り戻そうとしないといけないんだろうなと、なんていうか本当に覚悟のようなものを本当にヒシヒシと感じたライブでした。

『武道館をどう越えるか』みたいなのは多分観客みんなの頭にずっとあっただろうし、本人もそこは特に考えてたと思う。
アップテンポで盛り上がりそうな曲は、コントロールの利きやすそうな序盤に短めに入れていって、オケアレンジでしっかり聴かせて、MACCHOの登場からの最終盤という流れは、武道館の客演が入れ替わり立ち替わり目まぐるしいキラキラした派手さと比べると一見地味に感じるかもしれないけど、この状況で出来るベストだったんじゃないかと思う。それにいつも言葉が多いタイプではないけど、今日はしっかり自分の言葉で話してくれる時間が長くて、この状況の中でこの言葉を聴けて良かったなと。

武道館と比べるという意味では、ほぼ1MICでやり切ったこのステージは、対比としても美しかったなって思いました。武道館がここまでの人間関係やキャリアの軌跡を追うみたいな感じで、この横アリはまた1人で歩み出す第一歩的な?そんな感じに見えました。

終演後の規制退場はかなりしっかりとしてて、途中で長い待機に少し苛つきのようなザワつきが出たタイミングでスタッフさんから「ここ数週間、HIPHOPのファン層への悪いイメージの報道が続いていますが、こちらからしっかり提示すれば皆さんに守って頂けると信じていました。そういう意味ではまさに汚名返上できたのではないかと我々スタッフも思っております。」というようなアナウンスが流れて、残っている人は拍手&ざわついてた人も座り直し。その後も「たむろやポイ捨て、本日の皆さんの行いを無にするような行動はお控えください」と、しっかりアナウンス。

帰りに横アリでライブをやったアーティストの一覧を見て、ここにZORNの名前も並ぶんだなと思ったのと同時に、昨年のライブの少なさに改めてゾッとしてしまったし、今日無事開催されて良かったなって心から思った。
開催されたライブもされなかったけど準備されていたライブも、発表すらされず水面下で立ち消えてしまったライブもきっとあって、それぞれのアーティストの決断があったんだろうなと。エンタメは衣食住の次だと言われがちだけど、エンタメで衣食住を成り立たせている方はたくさんいて…私もいわゆる嗜好品業界、衣食住の次のものづくりをしているので何というか他人事でもなく心がザワっとしてしまった。一旦無事に終わったとはいえ、ここから2週間は特に気をつけて過ごそうと襟を正す思いでした。

長い長い文章になっちゃったのでこの辺でおしまい。
時系列や言葉のニュアンスは、私の記憶頼りでかなり補正が入ってると思うので…これはレポではなくてただの感想文です。(誤解釈や誤字があったらこっそり教えてください)

今日はなんだかふわふわした気持ちのまま普通に働いて少し早めに帰ってきて、美味しいクッキーを噛み締めながら余韻に浸りつつ書き終えました。気付いたら6000字超えていて、我ながら気持ち悪いです。ではでは。

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