見出し画像

ロングコートダディ 兎さんにとってハッピーな一日になることを祈る話

年々、時の速さに圧倒されるばかりですね、いかがお過ごしですか。
昨年のこの日、一人ホテルでランジャタイの行く末に手に汗握ったのがもう一年も前なんですね、痺れますね。

どうやら今年はTverでライブ配信されるらしいので、家にテレビがなくM-1を観るためだけに一万円を払って徒歩15分のホテルに泊まるお笑いファンが一人減るらしいですよ、良い時代になりましたね。

今回も書くべきか迷ったのですが、やっぱり楽しみで仕方ないことは事実なので、今年もラブレターのような文章を残しておこうと思います。
もうマヂカルラブリーもランジャタイもいないけど、今年は劇場で生で観て「面白い!」と思った人ばかりがファイナリストに名を連ねているので、実はここ数年で一番楽しみかもしれません。そんな中でもロングコートダディをちょっとだけ贔屓目に応援しています。


人柄で漫才をやっている

テレビ番組はあまり観ることなく、劇場に足を運んでは知識を増やしていくタイプのお笑いファンなので、恥ずかしながら関西を中心に活動している芸人さんはほぼ知らず、そもそもロングコートダディの名前を知ったのが昨年のこの日でした。
それがここ最近はロングコートダディを中心に、漫才劇場(通称マンゲキ)界隈の芸人さんの深みにどんどんハマっていっているので、芸人数珠つなぎって本当におもしろいですね。
余談ですが、数年後は間違いなくダブルヒガシがM-1を楽しくしてくれると信じています。

…と言っても、主に関西で活動するロングコートダディを関東在住の身で追いかけるのはなかなか厳しく、有料配信の単独ライブを視聴したり、Youtubeチャンネルを毎週欠かさず観るのが関の山。たま〜〜〜にロングコートダディが関東の劇場にやって来ても、FANYチケットに「親の敵やと思われとんか?」と疑ってしまうくらいチケットが取れず、結局今日この日まで生で観ることが出来たのがキングオブコントの準決勝ライブのみでした。
M-1までに生で漫才を観たかったけど叶わなかったな……ちょっとくやしい。
それでも、Youtubeやライブでも十分彼らを追いかけることはできる。本当に良い時代になりました。

ロングコートダディは、その人柄を知れば知るほど、同じネタでもその味わいが増すところが魅力的だなあと思います。
兎さんのプライドが高く、マウント取りがちで、でも全部ちょっとずつズレてるから何故か憎めないその人柄を知るたびに、ロングコートダディのネタ中の兎さんが愛おしくもおかしくてたまらなくなってしまう。

見取り図のYoutube企画『芸人テレフォンショッキング』にロングコートダディの二人がゲストで出た際、盛山さんが言った「ロングコートダディは堂前と兎の人柄で会話してるから、めっちゃ漫才だと思った」という表現がとてもしっくり来るなあと思うんです。
漫才というものは事前にネタを書いて設計しているわけだから、台本があり、毎度同じクオリティでそれを届けるのが芸。一方で、いかにも台本があることが伝わってしまうと面白さは半減してしまう、ボケであれツッコミであれ、その言葉を今日初めて発見したかのように表現することが芸の肝。そうしたときに、ロングコートダディのネタ、特に漫才は兎さんの人柄を知れば知るほど、本当に兎さんがその人柄のまま発言しているように見えてくるから、内容としては不自然なのに自然な二人の対話に感じられ、面白みが増すんですよね。

以前何かの番組で、堂前さんが「兎にしかできないネタを書いている」と言っていたけど、コントであれ漫才であれ、彼らのネタを観ているとその意味がよく分かるなあと感じます。兎さんの可愛いところやちょっとイラッとくるところ、その全てが堂前さん目線で切り取られていて、きっと他の誰かではできない、出来たとしても面白いネタにはならないんだろうなということをとても良く感じます。


「お前がネタを書いて、オレが連れて行く」

じゃあ人柄だけで芸人をやっているのかと言えば、そうではないところが兎さんの魅力的なところだと思うんです。本人がどこまで自覚的かわからないけれど、コントや漫才で兎さんが演じる人って、兎さんの人柄が滲み出ていながらも、全部ちゃんと違う人なんですよね。そしてどれも少しずつ、鼻につくけど愛おしい、人としての魅力を持っている。そこには確かな演技力、表現力が下支えしている。

その真髄が、この『旅人』というコント。

“世界を知る旅人がめちゃくちゃ話下手”という発想(ネタ)を思いつく堂前さんにまず感心し、それをここまで表現できる兎さんの技術力にとにかく驚かされる。そしてやっぱりちょっとだけ、兎さん特有のうざったさが滲んでいて面白い。


昨年の『M-1後の帰り道』で兎さんが言った「来年はお前(堂前)がネタ書いて、俺が(M-1決勝に)連れて行く」というコメント。隣で堂前さんが苦笑しているし、当時はボケの一貫だと思っていたけれど、二人を一年観ているとロングコートダディをめちゃ端的に表現していたんだなあと今なら思います。
ネタを書いているのは堂前さんだけど、それを表現できるのは、そこに命を与えているのは間違えなく兎さんだから。



死ぬ前に「たのしかったなあ」と思い出せるような一日に

様々なコメントから察するに、お二人はコント師であることに誇りを持っているので、漫才の一番を決めるM-1グランプリに本心ではどこまで気合を入れているかはわかりません。
(事実、どのメディアにも「ちょっと遊びに行く」ような感覚のコメントを残していて、その軽さがまた好きだなあとも思う。)
ただ、兎さんが言っているように今日この日が、人生を振り返ったときに「たのしかったなあ」と思えるような一日になることを祈っています。
でも個人的には、二人が想定するよりも少しだけ大きなものを手に入れて、彼らの愛おしさと面白さがもっともっとたくさんの人に広まれば良いなと思うけれども。


[おまけ]兎さんにまつわるオススメ動画

遠い劇場には足を運べなくても、インターネットの広い海にはコンテンツが山程眠っているわけで。そんな中でも兎さんの人柄が一番よく分かる、大好きな抜き打ちカバンチェック動画を最後に置いておきます。
小学校2年生みたいな持ち物で職場に遊びにやってくる兎さんのラブリーと、「ああ…こういうところが堂前さんはイラッとくるんだろうなあ……笑」というところがよく分かる本当に良い動画です。
(このマンゲキ風紀委員会シリーズは荷物に仕込みをしてくる芸人さんも多いので、兎さんもその可能性もなくもないけど、彼の場合本気でどっちか分からないところがまた魅力の一つでもある)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?