ホントの話 電車内でうずくまってしまった高校生との会話 1319文字 2分半読
今朝の電車内で、隣に立っていた男子高校生がゆっくりとうずくまった。
「大丈夫?」
「あ、はい、ちょっと・・・」
「学校は次の駅?」
「はい・・・」
次の駅に到着してもまだ辛そうなので、このまま放ったらかしにするわけにいかず、彼の脇を支えながら一緒に下車した。
「ちょっと座ろうか」
「・・・はい」
ホームのベンチに腰掛け少し落ち着く。
細身で小柄な青年の顔は真っ白。
「なんか飲む?温かいの?冷たいの?」
「あ、冷たいので・・・」
オレは自販機でペットボトルの水を買って、フタを開け、彼に渡した。
「ありがとうございます・・・」
彼は勢いよく飲み始め、水は半分まで減った。
「体調悪い?」
「いやなんか、フラフラするっていうか、ぼーっとするっていうか・・・」
「なんか悩み事でもある?」
「学校で進級できるかどうかって感じで・・・」
蚊の鳴くような声
見ているこっちが辛くなる
若さ爆発のハズなのに、全然元気がない
「あと、友達とトラブルもあって。先生に言うんですけどなんか、対応ちゃんとやってくれなくて・・・」
「そうなんだ・・・。何年生?」
「一年です」
「そうかあ。お父さんお母さんには話してる?」
「はい」
「でもちゃんと全部話してないでしょ?」
「あ、はい・・・」
直感的だが、子育て歴18年の経験がそう思わせた。
「ちゃんと話さないとだめだよ。自分で抱え込んだらパンクするよ。ご両親も全部話して欲しいと思ってるよ。話さないまま君が苦しんでいるのはお父さんお母さんは望んでないよ。こんな君の様子見たら絶対に話を聞きたいはずだよ」
自分の子がもしこんなにも辛そうなら、胸が張り裂ける思いだ。とにかく聞く、話をしてくれ、どんなことを思ってる?まずは正直な気持ちと、正確な現状をいち早く知りたい。
親ならそう思うだろう。
そしてそれは子どもの生活環境を健康的に整える事にも繋がる。
「あのね、勝手なこと言うけどさ、仮に、留年したら君オトクなんだよ。だって日本で高校留年した人どれくらいいる?超レアな人になれるんだよ。留年って一生のネタにできるんだよ。大したことないどころかオトクなんだよ」
彼は薄っすらと笑ってくれた。彼はどんなふうに捉えてくれたのだろうか。
でも、なんとなく彼は落ち着き、少し生気が見えてきた。
オレもできれば遅刻したくないから聞いてみた。
「どうする?学校行く?帰る?無理しないでな」
「あ、はい、学校行きます」
「大丈夫?無理じゃない?」
「はい、ありがとうございます」
とは言うものの、心配で後ろ髪ひかれたが
「ちゃんと全部親御さんに話すんだよ」と、ダメ押しに伝え「はい」という彼の返事にポンと彼の背中を叩いて、改札へと階段を上る彼を見送った
ハッキリと分かり易い形で辛そうなら対応できそうだが、人間は隠している
辛さを受け入れて耐えている
「こんな事は人に相談するもんじゃない」と
でも違うと思う
もっと楽に話せばいいんじゃないか?
それで問題が解決したり、しなくとも楽になったりすることはあるでしょう。
その恩は別の誰かに返せばいいんじゃないですか。
あんふうに、若者が覇気なく、辛さを一人で抱え込んでいるのはダメです!
って思うから、しゃべれ!人類!
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