お前は人のピンチに駆けつけるヒーローじゃなくて、幼児のパンツに駆けつける変態やで

僕と熊井は駅前のコンビニの喫煙所にいた。

喫煙所でする会話は本当にくだらない。

吐いたらその瞬間にスッと消えて行くタバコの煙のようだ。

その日、僕らは街ゆく女の人に点数をつけて遊んでいた。

最低である。


髪を上で括り、おでこを出した、倉科カナに似ていないこともない若い女の人が通りかかった。

熊井は「何点?」と言った。

僕は「65点」と言った。

熊井は「低いな。なんで?かわいいやん」と言った。

僕は「おでこを出すような髪型は、自分の顔に自信がないとできへん。きっと俺のことなんて見下してくるに決まってる」と言った。

熊井は「決めつけやろ。自信過剰な前の彼女にフラれたことまだ根に持ってんのか。気にすんな」と言った。

僕は「は?根に持ってねーよ。ていうかフラれたんじゃなくてフラれてあげてん。プライドの高い彼女のために。優しいねん俺は」と言った。

熊井は「プライド高いのはお前や。お前が優しいのは自分に対してや」と言った。


さっきまですぐ近くでジャグリングのパフォーマンスを披露していたかわいい細身の女の子が通りかかった。

僕は「何点?」と言った。

熊井は「40点」と言った。

僕は「めっちゃ低いな。なんで?スラっとした子タイプちゃうかったっけ?」と言った。

熊井は「ジャグリングをしているような女の子は男心をジャグリングするのも上手いはず。つまりいろんな男に手を出す浮気症である可能性が高いと思う」と言った。

僕は「決めつけやろ。前の彼女に浮気されたことまだ根に持ってんのか。気にすんな」と言った。

熊井は「は?根に持ってねーよ。俺も浮気してたから。本気じゃなかったから。対等やったから」と言った。

僕は「対等に持っていきたいと思ってる時点で対等じゃねーよ。大砲でぶっ飛ばすぞ」と言った。


リュックを背負った幼稚園児の娘の手を引いて歩く、綺麗なヤンママが通りかかった。

熊井は「何点?」と言った。

僕は「95点」と言った。

熊井は「高いな。なんで?ヤンチャな娘好きやっけ?」と言った。

僕は「小さい体に大きいリュックっていうのが一生懸命な感じが出ててかわいい。パンツみせてほしい」と言った。

熊井は「そっちかよ。ロリコンやん」と言った。

僕は「ロリコンちゃうで。か弱いものを守りたい気持ちが人一倍強いだけ。ピンチに駆けつけるヒーロー的な一面があんねん俺には」と言った。

熊井は「それをロリコンって言うねん。お前は人のピンチに駆けつけるヒーローじゃなくて、幼児のパンツに駆けつける変態やで」と言った。


胸の大きな大学生らしき女の子が、そのお母さんらしき人と通りかかった。

僕は「何点?」と言った。

熊井は「80点」と言った。

僕は「めっちゃ高いやん。なんで?巨乳やから?」と言った。

熊井は「年齢云々じゃなくて、綺麗かどうかが重要なんだよ。大人の艶やかさがたまらん」と言った。

僕は「そっちかよ。熟女好きか」と言った。

熊井は「果物でもなんでも腐る手前が1番美味しいんだよ」と言った。

僕は「腐るとか言うな。腐ってんのはお前の性格の方なんだよ」と言った。


本当にくだらなく、最低である。

こんな僕らは人として0点だ。





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