プレイ時間を短くするためにシャワー時間を長くしようとする風俗嬢には気をつけろ

僕はセブンイレブンでアルバイトをしている。

つい先日、セブンイレブンのバックヤードでスタッフとかなり有意義な会話をしたので、その様子を残しておきたい。


中山くんは「このチラシ、レジに来たお客さん全員に渡すんですか?」と言った。

中山くんは最近入ったばかりの通信制の高校に通う16歳の男の子だ。僕の後輩にあたる。

僕は「お年寄りとか騙せそうな人にだけ渡せばええと思うで」と言った。

僕はこのアルバイトで中山くんの次に新人だ。アルバイトをはじめて約4ヶ月。

白崎さんは「つまらんこと教えんなよ。高校生に。中山くん、ちゃんとお客さん全員に渡してな」と言った。

白崎さんは、僕より年上で真面目でよく気の利く男のスタッフだ。僕の先輩にあたる。

僕は「店長がそう言ってたんですよ」と言った。

白崎さんは「店長がそんなこと言うわけないやろ。適当な責任転嫁すんな」と言った。

店長は「僕の言った冗談、面白くなかったんやな」と言った。

店長は40代後半くらいの、優しい男だ。

白崎さんは「いや本当に店長が言ったんですか。ショック受けないでください」と言った。

僕は「だから言ったでしょ。僕は店長に教えてもらった通りに仕事しようとしただけですよ。真面目なんです」と言った。

白崎さんは「お前が真面目なら、動物園のナマケモノだって真面目だよ」と言った。

店長は「芳賀くんが真面目なら、僕の家のセントバーナードも真面目って言ってもいいのかな?」と言った。

白崎さんは「いや知らねーです。どこから来たんですか、セントバーナードは」と言った。

店長は「どこって、ペットショップ。近所の。なんで?」と言った。

白崎さんは「もういいです。店長」と言った。

店長は「あ、そういう意味??いやわかってたよ、わかってた。冗談じゃん。わざとじゃん。すごい不真面目だからさ、うちのセントバーナード。そこから」と言った。

中山くんは「なんか店長ってかわいそうです」と言った。

僕は「いや中山くん、余計傷つけるからそれ」と言った。

白崎さんは「芳賀が他人のフォローするなんて珍しいな」と言った。

僕は「しますよそりゃ。白崎さん、僕が嫌いなものは3つあるんですよ。それは、店長をいじめる人と、同情するフリをして他人を傷つける人と、プレイ時間をなるべく短くするためにシャワー時間を必要以上に長くしようとする風俗嬢です。覚えといてください」と言った。

白崎さんは「強気やん。ええんか?佐藤さんに風俗行ってること言っても。行くの禁止されてるんやろ?」と言った。

中山くんは「芳賀さん、彼女に内緒で風俗に行ってるんですね。今日はじめて有益なこと聞きました」と言った。

僕は「白崎さん、中山くん、あらためて僕の嫌いなものベスト3を聞いていただけないでしょうか?それは、つまらない冗談を言う年長者と、話が通じない年長者と、言ってることがさっきと違うじゃないかと言ってくる人です」と言った。

白崎さんは「許してやろう今回は」と言った。

中山くんは「許してあげます今回は」と言った。

店長は「許してあげる今回は」と言った。

白崎さんは「いや許しちゃダメですよ店長は。なんで自分が悪く言われたのに許しちゃうんですか?」と言った。

店長は「ええか。人が悪口を言う時は2つのパターンが考えられるねん。一つは、悪人が悪口を言うパターン。この場合言っていることは本当だ。もう一つは善人が悪口を言うパターン。この場合言っていることはただの嘘だ。そして芳賀くんの場合は後者。なぜなら、風俗に通っている男に悪い奴はいないからだ。セックスばかりしている間に、精子と一緒に悪意も体から抜けて行くのさ。僕にはわかる。僕も通っているからな。妻に内緒で。通い出して穏やかになった」と言った。

白崎さんは「アンタも嫁さんに内緒で通ってんですか。何してんですか」と言った。

僕は「わかってくれるんですね店長。風俗は人間洗浄機ですよね」と言った。

店長は「そうそう。用法・用量には気をつけないとあかんけどな」と言った。

白崎さんは「いやどこが?薄汚れてんでしょうがアンタら。精子まみれでしょうが」と言った。

僕は「白崎さん、人ってのは、人生ってのは、そんな綺麗なもんじゃないんですよ。人生ってのは、たとえ泥まみれ、汗まみれ、精子まみれになっても、それでも歯食いしばって生きてくことなんですよ」と言った。

店長は「そうそう。穢れなき人生なんて人生じゃない」と言った。

白崎さんは「ダメだこの人たち。何を言っても無駄だ。こんな大人になったらあかんで中山くん」と言った。

中山くんは「わかってます。僕は将来、妻を納得させた上で風俗に通います」と言った。

白崎さんは「いや通うんかよ」と言った。


中山くんはそういうお年頃なのでした。

平和でした。




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