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第7期叡王戦第2局名古屋 大盤解説会

藤井聡太叡王 vs 出口若武六段
解説 稲葉陽八段、久保利明九段、杉本昌隆八段
聞き手 室谷由紀女流三段

●現地着

JR名古屋駅から2駅。栄駅から歩いて7分ほどの中電ホールで開催された叡王戦の大盤解説会に行ってきました。少し肌寒いぐらいの気候だったのですが、繰り広げられたのは大熱戦でした。


●第二局

解説は稲葉陽八段。聞き手は室谷由紀女流三段で始まりました。
お昼が終わった14時からのスタートです。

室谷由紀女流三段は久しぶり大盤解説会で緊張されているとのこと。
緊張なんて感じさせない、素敵で流れるような聞き手でした。

室谷由紀女流三段
「先生、戦型予想当たっていましたね」

稲葉陽八段
「いや、実は、昨日ここにくるタクシーで相掛かりって言っていたんですよ。でも藤井さんに言うと、絶縁ではすまないので今日まで黙っていました」

室谷由紀女流三段
「え? 稲葉先生に戦型言っちゃうんですか?」

稲葉陽八段
「あ、はい。言っていましたね」

出口若武六段の人柄なのか、兄弟子への信頼なのでしょうか。にこにこと弟弟子のことを話される井上門下の絆をみせて頂きました。

休憩を挟んで。
立会人の久保利明九段と稲葉陽八段のダブル解説が始まりました。

(人生初の久保利明九段が和服とか!! 福眼!!)

指し手(コロナ前の大盤解説のように)の質問が会場から声が上がります。鋭い手を質問される男性の方は有段者の方でしょうか。ただその指し手以外の声はなく静かで、とても集中して大盤解説を聞くことができました。

話題としては出口若武六段の好青年トークや藤井聡太叡王の活躍についてでした。

休憩。
室谷女流三段も稲葉八段の解説にもどります。
井上一門の研究会の話をして下さいました。奨励会三段以上?でプロ棋士含めてCBAのクラス戦。A級棋士がCクラスに居ると恥ずかしいので頑張らざるを得ない。奨励会三段とも平手で指すとのこと。

時間は16時半を少し回った時のことです。熱いことが起こりました。

稲葉陽八段
「ここで飛車を動かすと……千日手。でも藤井さんは打開すると思いますよ」

パチ、パチ

室谷由紀女流三段
「え……?なんか指し手が早いんですけれど」

パチ、パチ――パチ、パチ。

稲葉陽八段
「あ」

パチ、パチ。

同じ局面が4回繰り返される「千日手」です。

稲葉陽八段
「余計なことはいうものではないな」

室谷由紀女流三段
「みなさん、もう一局みれるとか運がいいですね!」


ざわついていた会場が爆笑に包まれました。
千日手指し直しは30分後開始ということで、休憩。
もう一局を万全で観戦するために、急ぎカフェへ行き、ワッフルとアイスで糖分補給をして、また会場に戻りました。


●千日手指し直し局

(大盤解説会で初めての千日手……指し直し局)

テンション上がります。上がっていいと思うんです。
序盤はハイペースに進みます。

そして、休憩。
後の解説は杉本昌隆八段、聞き手は室谷女流三段でした。

杉本昌隆八段
「朝、対局を見て、昼から岐阜で仕事だったんですよ。ここに来るためにタクシーに乗りまして――運転手さんが私が棋士だと気がついて、お子さんの英才教育について相談してこられたんです」

室谷由紀女流三段
「さすが杉本先生!」


杉本昌隆八段
「いろいろとお答えして、写真を撮ってくれと言われるんですよ、ホテルに着いてからでもいいと。ホテルはまずいので自撮りで撮っていたたんです。そうしたら……」

室谷由紀女流三段
「そうしたら?」

杉本昌隆八段
「私の名前を教えて下さいと――」

会場、大爆笑。

杉本昌隆八段
「知らなかったんですよ。わたしの名前」

若いが続きます。

杉本昌隆八段
「このこと早く誰かに伝えたかったんです。いつかコラムに書くかも知れません」

起こりたて?のエピソードありがとうございました。

杉本昌隆八段
「千日手の理由はききましたか?」

室谷由紀女流三段
「いえ。まだです」

杉本昌隆八段
「千日手の理由はたぶんですけど、対局不足かな。一局でも多く指したかったとか。それか永瀬王座の悪影響(ユーモア)」

またまた大爆笑です。
トークとトークの合間に、指し手の検討を挟んで下さいます。

室谷由紀女流三段
「最近、藤井叡王と話されたことは?」

杉本昌隆八段
「最近はあまりなくて、祝勝会や囲む会への移動の時ですね。電車や新幹線の座席には行きがA席だったら、帰りは別の側の座席に乗りたいって。車窓の景色を見たいそうです。こだわるんだなぁ」

そこからは杉本昌隆八段曰く「足を止めての殴り合い」でした。
MCの方が、稲葉陽八段との交替を告げると少し寂しそうに、されていた杉本昌隆八段でした。

(ありがとうございました!!)

ここでは休憩を挟まずに、稲葉陽八段と交替をされました。

盤面は、完全に藤井聡太叡王の優勢の局面でした。
一手、藤井聡太叡王が指されるとそのまま表情に出てしまう出口若武六段。

終盤は藤井聡太叡王の隙の無い、差し回し。
確実に確実に盤面を優勢にしていくその一手一手は圧巻でした。

第二局。優勢だったのに千日手にした藤井聡太叡王。
優勢でも千日手を選ばれた。
今、指し直し局では盤面を大きく使った将棋で圧倒されている。絶対に勝ちに行くために必要だったのが、千日手指し直しだとしたら……と思ってしまうほどの踏み込みでした。

藤井聡太叡王の、勝負に対する熱さを感じた瞬間でした。


●終局後

藤井聡太叡王と出口若武六段が大盤解説会の会場に来て下さいました。

藤井聡太叡王
「あ、はい。タイトル戦の番勝負ではおそらく初めての千日手でしたが、自分なりに精一杯指すことが出来たと思います」

出口若武六段
「ちょっと千日手指し直し局がだめなないようにしてしまったので、集中力が長く続くようにしたいと思います」


目を瞑られていることが多かった藤井聡太叡王でしたが、最後の室谷女流三段と稲葉陽八段のやりとりで少し、目元を綻ばせているのが印象に残りました。

大熱戦でした。
一日、タイトル戦という重い重圧がかかる二局を、現地大盤解説で観せて頂き、誠にありがとうございました。

(藤井聡太叡王、出口若武六段。現地解説の稲葉八段、室谷女流三段、久保利明九段、杉本昌隆八段。そして関係者の皆様!! ありがとうございました)

(了)

※ウルトラ速さ重視の速報版で申し訳ありません!!

※誤字脱字など随時直していきます。速さ重視のアップで申し訳ございません。ご参加されていた皆様。会話の順番、記憶違いなどあったら、申し訳ございません! 修正します! ドン!とご指摘くださいませ。

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