生き抜くために、全てを賭けた少女たちの物語。『黄色い家』
貧困と犯罪の狭間で、必死に生きる少女たち
川上未映子氏の衝撃作『黄色い家』は、貧困に喘ぐ少女たちの過酷な人生を描いた、今世紀最大の問題作です。
主人公の花は、惣菜店で働きながら、20年前の記憶を呼び起こします。
それは、60歳の黄美子と、少女2人との疑似家族のような日々でした。
無情に奪われる金と、歪んだ共同生活
まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働きます。
しかし、その金は無情にも奪われ、彼女たちはよりリスキーな"シノギ"に手を出していきます。
歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに、崩壊の一途をたどります。
善悪の境界線上で、もがく少女たちの運命は
善と悪の境界に肉薄する、この物語。
悪人とは思えないような人たちが、どのようにして犯罪の世界に入り込み、抜け出せなくなるのか。
彼女たちは、ただただ必死で生きようとしていました。
しかし、その結果は、悪い方向へと向かってしまうのです。
社会構造の歪みが生む、悲劇の連鎖
本人の問題もあるとは言え、能力や家庭環境など、本人にはどうしようもない境遇が、大きく影響しています。
そして、更に辛いのは、その裏で自分は傷つくことなく利益だけを得る人々がいて、
それが社会構造の一部として成り立ってしまっていることです。
感動と衝撃の結末、あなたは涙せずにはいられない
後半は、涙腺崩壊必至。
家族、お金、絆を巡る犯罪中心の物語でありながら、文学的な美しさを失わない筆致に、著者の力量を感じずにはいられません。
「まともな世界でまともに生きていく資格のようなものを手にいれたかということだった。わたしは誰かに教えてほしかった。」
花の叫びが、読者の胸に深く突き刺さります。
誰もが direct に感じる、リアルな世界
親や周りの環境に恵まれず、抜け出そうと努力しても、普通には生きられない少女・花。
ハッピーエンドにはなり得ないことが明かされているからこそ、読み進めるのが苦しい。
けれど、そのリアリティこそが、読者を物語に引き込んでいきます。
あなたは、この本を読み終えた時、グッタリと疲れ果てるでしょう。
しかし同時に、誰かの人生を追体験したかのような、強烈な感覚を味わうはずです。
恐ろしくて、でもしっかり心に染み込む。
そんな不思議な物語を、ぜひあなた自身の目で確かめてください。
川上未映子氏の『黄色い家』は、今を生きる全ての人に問いかける、衝撃の書です。
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