浅倉秋成の『六人の嘘つきな大学生』は、驚愕の展開が待ち受ける傑作ミステリー!
はじめに
浅倉秋成氏の『六人の嘘つきな大学生』は、2021年に刊行されるや否や、文藝界に大きな衝撃を与えた話題作です。本書は、就職活動という身近なテーマを扱いながら、驚愕の展開と見事な伏線回収で読者を唸らせる、稀代の傑作ミステリーと言えるでしょう。第12回山田風太郎賞の候補作となり、TBS系の情報番組「王様のブランチ」の「ブランチBOOK大賞2021」を受賞。さらには、第43回吉川英治文学新人賞、第22回本格ミステリ大賞小説部門の候補となり、第19回本屋大賞では堂々の5位にランクインしています。
あらすじ
物語の舞台は、IT企業「スピラリンクス」の新卒採用の最終選考。残った6人の大学生に与えられた課題は、1ヶ月後にチームを作り上げ、全員で内定を勝ち取ることでした。波多野祥吾を中心に、6人の学生たちは交流を深め、内定を目指して奮闘します。しかし、本番直前に衝撃の課題変更が。6人の中から1人の内定者を決めるという、残酷なサバイバルが始まります。内定を賭けた議論が進む中、6通の封筒が発見され、そこには各人の「罪」が綴られていました。果たして、彼ら6人の嘘と罪の真相とは?そして、犯人の目的とは一体?8年後を舞台とした第二部では、事件の真相が明かされ、読者は再び驚愕の渦に巻き込まれることになるのです。
鮮やかな伏線回収と驚愕の展開
本書の魅力は、何と言っても、読者を飽きさせない展開の妙にあります。会話劇の中で状況が目まぐるしく変化し、さりげない言動に潜む伏線が次々と明かされていきます。著者の綿密な構成力には、ただただ脱帽するばかりです。まるで、絶妙なタイミングで仕掛けが発動する、スリル満点のジェットコースターに乗っているかのようなのです。伏線の張り方、回収の鮮やかさは、ミステリーファンをも唸らせる完成度。「すべての伏線を、見破れ」という帯の文句は、決して大げさではありません。
就活という身近なテーマ
また、本書が多くの読者の心を掴んだ理由の一つに、就職活動という身近なテーマを扱っていることが挙げられます。著者自身も就活を経験しており、その際に感じた違和感や疑問が、リアルに作品に反映されているのです。「あなたたちちゃんと選べますか」という、採用側への疑問。個々人の就活に対する思いが吐露されるインタビューパートは、胸を打たれる内容となっています。就活生だけでなく、採用側の視点も織り交ぜながら、就活の本質を問いかける作品となっているのです。
登場人物の魅力
加えて、本書の登場人物たちも、実に魅力的です。一人一人に複雑な背景があり、物語が進むにつれ、読者の印象は二転三転。表面的な言動だけで、善悪を判断することの難しさを痛感させられます。また、完全に善良に思えた人物にも、ほの暗い一面が描かれるなど、著者の人間観察の鋭さには感服させられます。登場人物たちは、決して一面的ではなく、善人と悪人に簡単に分類できるようなキャラクターではありません。むしろ、誰もが善悪両面を持ち合わせた、リアルな人間として描かれているのです。
現代社会への鋭い問いかけ
『六人の嘘つきな大学生』は、ミステリーという枠組みを借りながら、現代社会への鋭い問いかけを行っている作品でもあります。特に、断片的な情報で他者を判断することの危うさは、SNS時代の今だからこそ、心に刻んでおくべきテーマと言えるでしょう。著者の最新作『俺ではない炎上』でも、同様の問題意識が描かれています。浅倉秋成氏は、現代社会の闇を見据えながら、エンターテインメント性の高い作品を生み出し続ける、稀有な作家なのです。
おわりに
浅倉秋成氏の『六人の嘘つきな大学生』は、ミステリーの枠に収まらない、稀有な傑作です。就活という身近なテーマを扱いながら、人間の本質を鋭く突いた物語は、読後も長く心に残ること必至。眩いばかりの伏線回収と、予測不能な展開。そして、現代社会への鋭い問いかけ。この衝撃の一作を、ぜひ多くの方に手に取っていただきたい。きっと、あなたの予想を裏切る、驚愕の展開が待っているはずです。浅倉秋成という作家の真骨頂を、存分に味わってみてください。
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