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映画に行くという体験

無料公開の漫画を読んでたら、こんなシーンがあった。「明日映画行かない?」「行こう行こう!」と誘い合わせ、映画館前で「なに観る?」「どれでもいいよ」と。私はこの描写にびっくりしてしまって。何を観るか決めずに出かけて、その場で適当に選んで観るなんてことあるの!?って。
その話を夫にしたら、やはりすごく驚いてて。「あれ観に行かない?」「いいね!」というのしか経験ないと。どうやらこの世には、"一緒に映画を観に行くという体験"が大事で、その内容は問わないという文化圏もあるらしいと夫婦で驚いた。ひょっとしたら、「映画に行きませんか?」という誘い文句のデートもそうだったりすることあるのかもねと。

そんなことを話してたら、私たちの出会いは映画がキッカケだったことを思い出し、懐かしい話に花が咲いた。
2004年。「スクール・オブ・ロックを観たいヤツらで映画館に集結して、みんなで観た後に飲もう!観たいヤツなら誰でもOK!」という雑でアホなことを言い出した友人がいて、そんなアホ企画に、面白そうじゃんって10人以上集まってみんなで観た。当時の私の彼氏の友人が連れて来たのが今の夫だった。飲んだ後に私の部屋に5人くらい来て朝方まで盛り上がった中に、その日初対面だった夫もいた。
夫とは音楽の話で盛り上がり、一緒にWIRE04(石野卓球主催の屋内レイブ)に行くことになった。偶然数日前、一緒に行くはずだった友人がバイクで事故って骨折してしまったのでチケットが1枚浮いていたから私から誘った。その場に当時の彼氏もいたのに。思い出すだによく分からない状況。当時の彼氏とは音楽の趣味がイマイチ合わなかったし、私は男友達も多いからとは言え、自分の彼女が目の前で初対面の男をオールナイトのイベントに誘うことをよく許したなと思う。

夫とはその後ライブやイベント、美術展など一緒に行く間柄になり、時に2人で出かけることもあったけど友人のままで、私は当時の彼氏と1回目の結婚をした。びっくりでしょ?明らかに今の夫との方がウマが合うのに、したんですよ、結婚。しかし色々あって1年と持たず家出して離婚。家出する程に精神的にボロボロだった私の支えになってくれたのが今の夫。なんだか遠回りをしたようだけど、必要な過程だったと思ってる。

あの時、スクール・オブ・ロックをみんなで観るなんてアホ企画がなければ。あの時、友人が事故らなければ。今の夫との関係はきっとなかった。日常の全ては奇跡の連続なんだと思う。それは時に事故などの不幸な出来事だったりもする。離婚を経験したのも大事な過程だったと思う。偶然は全て必然の奇跡。だから私は何ひとつ後悔しない。
出会って20年、結婚17年目。夫とは今も一番の親友だ。結婚生活の維持に最も大事なのは"友愛"だと、私は思っている。

『スクール・オブ・ロック』

落ちこぼれミュージシャンが名門小学校の臨時教師になりすまし、ロックを通じて子どもたちと交流する姿を描いたコメディ。ロックを愛するギタリストのデューイは、自分勝手な振る舞いのせいでバンドを追放されてしまう。その一方で、同居している親友ネッドのアパートからも家賃滞納で追い出されそうになる。そんな矢先、ネッドに名門私立小学校の臨時教師の仕事が舞い込んだことを知った彼は、ネッドになりすまして教師として働くことに。やがて子どもたちに音楽の才能を発見したデューイは、彼らと組んでバンドコンテストに出場しようと考え、ロックの授業を開始するが……。実際にミュージシャンとしても活動する俳優ジャック・ブラックが、主人公デューイをハイテンションで熱演。「恋人までの距離(ディスタンス)」のリチャード・リンクレイターが監督を務め、主人公の親友ネッド役で出演するマイク・ホワイトが脚本を担当。

2003年製作/108分/アメリカ
原題:School of Rock
配給:UIP映画
劇場公開日:2004年4月29日

映画.com


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