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夜中に爪を切ってはいけない。 そう言われたのは子どものころ。 オトナになってから、 爪を切るのは、いつも夜中だ。 寝静まった夜の中、 爪を切る音は思いのほか大きくて 思わず身をすくませる。 淀んだ夜気が、 聞き耳を立てているようで、 辺りをうかがってみたりする。 部屋のドアを閉め切って、 ぷちん、ぱちん、と爪を切る。 なぜか後ろめたく、 何かを畏れて、 そっと隠れて爪を切る。 ぷちん、ぱちん。 ぷちん、ぱちん。 切り終えて、 両手を高くかざしたら、 わずかにあいた