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古いAMラジオで聞く歌は、どこか哀しい。 雑音のまじる、ざらついた音。 途切れる、メロディ。 不確かな、コトバ。 明日を唄った歌にも、恋の歓びを唄った歌にも、 ノイズのような哀しみが、 ちりちりとまばらに混ざってる。 青い空の下に持ち出して、 AMラジオで歌を聴く。 高く明るい空までもが哀しく見えて、 ふいに、密やかに決意する。 生きなくちゃ。 明日も生きていかなくちゃ。 決意は、哀しみの中から生まれるのだ。 ノイズのような哀しみの中から。