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雲の平:登山中の出会いと会話のこと

登山で会う人との会話は気持ちが良い。一人で登山をすると、山小屋や休憩ポイントでちょこちょこ他のハイカーと話す機会がある。

昨年、雲の平に行ったとき、雲の平山荘で女性5人の相部屋だった。私を含めて3人がソロで2人組が1組。夕食が終わってから「明日は何時に出発する?」「どこまで行く?」という話をした。

2人組「水晶岳に登って鷲羽岳から三俣山荘へ下って黒部五郎小屋へ行きます」

ソロA「鷲羽岳に登って、三俣山荘に泊まります。」

ソロB「折立(富山県側)へ降ります。」

わたし「黒部源流を通って三俣山荘。それから双六小屋まで行きます」

ソロAは夜明けとともに歩き出し、途中で弁当を食べる予定だそうだ。他の4人は朝5時に朝食を食べ、準備ができたら出発する予定だ。9時消灯で眠りにつく。

翌日、朝食後あいさつを交わして出発。健脚の2人組はコーヒーを楽しんでいたが、私は雨が降り出しそうな空を見て気が急いていた。準備体操をして歩き出す。

4時間後・・・三俣山荘の食堂に着くと明け方出発したソロAが「今日はここで泊まりだから」と日本酒でのんびりおでんを食べていた。そのうち、2人組も到着し、ケーキとコーヒーを頼む。私はお腹が空いていたのでオムライスだ。チキンライスのケチャップが濃くて美味しい!

三俣山荘のオムライス

4人で食べつつ、「天気いまいちだったねえ」「うんうん」「ずっとガスってたね」「雨じゃなくて良かったね」、そしてここまでの行程を報告し合う。

今度はもう会うことはないだろう。「またいつかどこかで!」「お気をつけて!とあいさつを交わし、それぞれの予定に戻って行く。

私はこのような関係性がとても心地よい。お互いのことについて余計なことは言わない。「まだ時間があるからもっと行けるんでは?」「景色見えないのに山頂行ったの?」「ここでお昼食べれば?」なんて言う人がいない。
たぶん、それぞれ自分の体力・行動のしかた・優先順位があることを理解していて、相手の決定を尊重しているからではないかな。
「自分のことは自分で決める」「他の人の予定や行動に余計な口出しをしない」

その代わり、聞かれれば知っていることを教え、危険な箇所があったら知らせる。「この先は雨のとき滑りやすいよ」「山頂まで風がすごく強かったよ」とか。実にさっぱりとしていて清々しい。たまたま今まで出会った人たちが良かったのかもしれない。

しかし、注意も必要だ。例えば、だれかに「このルートどうでした?」と聞いたとき「ぜんぜん楽々だったよー」と言われても「この人にとっては楽々なんだ」と話半分に聞いておこう。私には大変すぎるかもしれない。年齢が上に見えてもすごい健脚の人も多い。結局、他の人は他の人。最後に決めるのは自分だよ。

下界に降りてくると、また『他の人はどう思うかな?』と気にする自分がいる。それに「他人のことに口出しする人が多いなあ」とつくづく思う。


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