狭間の路地裏、便利屋の助手
都市部にしては家賃が安かったのだ。
「こんばんは、白石さんですね?」
「…どなた?」
ドアを開けると大男。
「決して怪しいものでは」怪しい。
「あー、宗教とか水とか、結構なんで…」
「いえ、そうではなく」笑顔が消えた。というか顔が。
「えっ」
「ホワイトストーンノ在処、教えロォォォォ!」
頭は口だけ、胴体に大小の目が4つ!化け物!
「ひぃっ!知るかよぉ!」
「グォァァァァァ!」
「うわぁぁあぁぁぁ!」
死ぬ!?
「グォ…ギャァァーッ!?」
突如化け物は青白い炎に包まれ、数秒後に灰となった。その向こう、玄関先にはカーキ色のジャケットが似合う、身長40cmくらいの2足で立つ兎。
「あ、ど、どうも」
「今晩は。ご無事で何より。ここらはあんなのがたまにいるので、お気をつけて」
「はぁ」
「と、お近づきの印に」
兎は名刺を取り出す。『便利屋 ゲッカ』住所は近くの雑居ビル。
「何かあれば是非」
「あ、はい」
これがゲッカとの出会いだった。
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