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介護職が ”スタイリッシュに” 働く未来を目指して

こんにちは!福岡AC(エリアコミュニケーター)の豊嶋です。

「これからの介護を考える」シリーズの第四弾です。

今回は、福岡市で通所、居宅、訪問介護の事業所を運営する株式会社nakasakaの中坂克典さんにお話を伺ってきました。

中坂さんとは他法人の経営者の方のご紹介で、2018年に初めてお会いしました。デイの施設内が、読書や映画鑑賞ができるスペースが広く取られていたり、リラックス用の大きな椅子が置かれていたり、さながら「高齢者用リゾート風デイサービス」と呼べそうな、利用者さんがゆったり過ごせる空間作りを徹底されていることに驚きました。そして、お話を重ねていくごとに、中坂さんが利用者さんのことだけでなく、スタッフの皆さんが長く働ける環境作りについて、具体的に丁寧にアクションを重ねていらっしゃることも分かりました。今日はそんなお話を中心に伺ってきました。

■法人情報
・法人名・事業所名: 株式会社nakasaka
           デイサービス彩坂・福岡中央ケアプラン・rebirth福岡中央
・種別: 地域密着型通所介護、居宅介護支援、訪問介護
・本社住所: 福岡市中央区草香江1-4-50パークヴィラ大濠101
■プロフィール
・役職: 社長
・お名前: 中坂 克典(なかさか かつのり)
・資格:経歴: 介護支援専門・介護福祉士

利用者さんの「ありがとう」が嬉しくて、介護の道へ

ーー介護に関わって20年とのことですが、中坂さんが介護の世界に入るきっかけは何でしたか?

中坂さん:
大学を卒業して、メーカーの営業マンをしていたんですが、売上目標や毎月のノルマ達成を目指して働くことが自分には合わないと思うようになったんです。

20年前に介護保険が始まったのを機に、人のケアをしたりお世話したりするのが自分に合っているのではないかと思い、思い切って転職しました。すると思った通りで、利用者さんから「ありがとう」「助かった」と言われるのがとても心地よく、それから介護にのめりこみました。

ーーこの20年、仕事をしていく上で中坂さんご自身、どのようなことを大切にされていますか?

中坂さん:
今もケアマネジャーをしています。現場の状況を分かっておかないと、以前にいた会社のように売上ばかりを追い求めるようになっていく気がするんです。自分のモチベーションを保つためにも、利用者さんと接する時間を作って、自分自身がこの仕事の魅力を実感していたいです。その上で、会社も発展させていければいいなと思っています。

ーー会社としての理念や運営方針のこだわりはどういったことですか?nakasakaさんのデイサービスは、木で統一されていて温かみがあり、職員さんも事業所内を走り回ることなく落ち着いている印象です。

中坂さん:
利用者さんにとって居心地のいい現場を目指しています。自宅の延長のように過ごしていただける場所として、戸建て風のデイサービスを建てました。そして、利用者さんだけではなくて、スタッフも大事にしたいと思っています。

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理想の働き方は、必要以上に重くならない”スタイリッシュさ”

ーー利用者さんと同じように、スタッフさんも大切にされているということですが、他の事業所と違うところはありますか?

中坂さん:
この業界は転職される方も多いですよね。どこの会社に行っても待遇がそんなに変わらないから転職が多いのかなと思っていて、スタッフが過ごしやすい空間をつくることはもちろん、待遇や給与の面も良くしていきたいと思っています。

ーー現場に入られてるからこそお伺いしたいんですが、人手不足の実感は高まっていますか。

中坂さん:
この仕事に関わって約20年、介護はずっと人手不足と言われてきていますが、この5年くらい、特に訪問介護は厳しくなっている実感があります。施設が併設している訪問介護はあっても、単独で立ち上げるケースは聞かないですね。以前は夜間に受けてくれる事業所も結構ありましたが、今はほとんどありません。ケアマネさんもサービスを探すのが大変だと思います。何年後かになるとさらに厳しくなって、利用者さんが在宅生活を続けられるのか心配です。

ーー職員さんに長く続けてもらうために、どんな風に働いてもらいたいと考えていらっしゃいますか。例えば、職員離れが続いている事業所が変わらないといけないとお考えになることはありますか?

中坂さん:
以前は髪を振り乱して利用者さんのために夜も駆けつけたり、病院に連れて行ったり、頼まれた物を買ってきたりしていたと思うんですよ。そういうことを、皆さん嫌な顔せずにやっていた。でもずっと続くと、あるとき疲れちゃうんだろうと思うんです。介護者も年齢が高くなっていますし、やりたい気持ちはあるけれど無理な対応はできなくなって、そういうことが続くと「この仕事辞めようかな」と思ってしまう。

この仕事を長く続けてもらうためには、介護保険の制度が続くためには、少し冷たく聞こえるかもしれませんが、自分の業務範囲をしっかりやることです。自分の範囲外の仕事を頼まれたら、ケアマネジャーさんに相談したり、別のサービスをうまく使ったりして、しっかりオンとオフの線を引く。それが長く続けるためには必要なのかなと思います。利用者さんに対する想いは、自分の仕事の中で精一杯表現していけばいいと思うんです。

あくせくした感じではなくて、もっと“スタイリッシュに”介護の仕事をするイメージですね。

ーー僕の中での“スタイリッシュ”は、ICTを活用したり、いわゆるビジネスパーソンっぽいイメージなのですが、テクノロジーの活用も考えていますか。

中坂さん:
もちろん、そういう部分も多くなっていきますよね。私のイメージは、利用者さんとの関わりのことで、やることはやるけれど必要以上に重くならない。スマート的な意味合いを持ったスタイリッシュ感ですね。

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スタッフが介護への想いを持ち続けられるよう、ストレス少なく働ける環境を作る

ーー理想とする働き方の実現に向け、法人として取り組んでいることはありますか?

中坂さん:
訪問介護でいえば、去年から業務の見直しも少しずつ進めています。利用者サービスも、自立支援の観点で、ケアマネジャーさんや利用者さんに提案して、ケアをやりすぎないように心がけています。

私自身も最近は7時には帰ってますね。なんで昔はできなかったんですかね(笑)。思い返すと気持ちの問題は大きいと思いますね。以前はスタッフも夜遅かったし、休みも返上してもらっていたんですが、それが続くと疲れているのが目に見えてくるんですよね。「この人辞めるだろうな」ということも分かってきます。胸が痛かったですね。今はスタッフもほぼ定時で帰っています。少しずつ色々なことを改善してきた結果かなと思います。

ーー中坂さんが以前からスタッフさんの様子に目配りされてきたことがよく分かったのですが、コミュニケーションの取り方はどう工夫されていますか?

中坂さん:
ただ現場にいるだけです。みんながいるところにいるようにしています。「いってらっしゃい」とか「お疲れ様」とか大きい声で言うようにしています。その反応や、すれ違う顔を見ていると分かります。以前から飲み会などはほとんどなくて、現場で仕事をしている割にはスタッフとの会話は少ないと思います。

前は個人面談なども積極的にしていたんですが、政治と一緒で全員のことを聞けないので、期待を持たせてしまうことに気づいて辞めました。相手が何を思っているのか、観察して把握していく形にしました。

ーースタッフさんの指導はどうされているんですか?利用者さんの為にやりすぎてしまう場合もあると思うのですが、逆にそれがモチベーションになっている方もいるのではないかと。

中坂さん:
入社してすぐの方は、やはりやりすぎてしまう方が多いです。でも、当面の間はなにも言いません。「やりたい」という気持ちの方が大事だし、それが介護の根本なので。最初に注意したら「そういう気持ちで仕事したらダメ」と聞こえてしまうかもしれない。でも、ある程度時間が経ったら、そこは業務外だからやめようと、指導するようにしています。

ーーまず「やりたい」という気持ちを肯定するんですね。素晴らしいなと思いました。活躍されている職員さんに特徴はありますか?

採用のとき、募集が多すぎて断る以外で、面接で断ったことはないんですよ。そもそも30分くらいの面接でその人を判断するのは難しいし、介護の仕事しようという気持ちを持ってる人に悪い人はいないですよ(笑)。採用した方に活躍してもらえるかどうかは、活躍してもらえる環境を整えられるかどうかなのかなと思いますね。

他の事業所さんのことは正確には分かりませんが、うちは退職する人は少ないです。長く続けてもらってるので、80歳のヘルパーさんもいますよ。70代もたくさんいます。僕より元気で暑い中自転車で走り回ってくれていますよ(笑)。

■編集後記
介護を仕事として続けていく中では、利用者さんとの距離感は重要なポイントです。家族のような付き合いをすることもあれば、決められたことだけをやらないといけない場合もあります。その中で介護する側が長く続けるには、自身のストレスを把握し、うまくそれと付き合う必要があると思います。私は中坂さんの取り組みが、事業所とケアマネとの連携、職員さんのストレス管理、そして利用者さんのケアの一部になっているように感じました。いろんな介護の関わり方がありますが、離職率の高い業界なので、長く介護に関われる関係性を引き続き大切にしていただけたらと思いました。

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地域ケアプラットフォーム推進本部兼介護福祉士
福岡エリア担当 豊嶋 満久(とよしま みつひさ)
ドライブで山に行くのが好き。

豊嶋さん 編集後記写真


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