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職種や事業所の垣根を超え、安心して暮らせる社会へ

こんにちは!横浜AC(エリアコミュニケーター)の松澤です。

今回は、横浜市磯子に拠点を構えている 悠の木株式会社 代表取締役 青木 悠紀子さんにお話を伺いました。

こちらの事業所は医療的ケアを必要とするご高齢者や子どもたち、またそのご家族のサポートをしていくことを目的とした、子どもから高齢者までが同じ空間で「共生」する、横浜市磯子エリア唯一の施設です。

青木さんは医療職(看護師)ご出身で、看護・介護サービスの地域ケアに注力されています。

重症心身障害児型の児童発達支援事業・放課後等デイサービスを同施設内に併設し、他世代との交流の場を創出することで、ご利用者がいきいきとした時間を過ごされているように感じました。

子どもと高齢者が一緒に過ごす当たり前の楽しみを持てる場を目指されている、青木様へお話を伺いました。

■法人情報
・法人名: 悠の木株式会社  
      https://yu-noki.co.jp/tsusyo/
・種別: 訪問看護(悠の木訪問看護ステーション)
     居宅介護支援事業所(悠の木ケアリングセンター)
     定期巡回・随時対応型訪問介護看護(悠ケア24)
     障害者特定計画相談(悠の木相談事業所)
     地域密着型通所介護(悠YOU療養通所)
     児童発達支援・放課後デイサービス(悠YOUこどもデイ)
・住所: 神奈川県横浜市磯子区原町1-21
■プロフィール
・役職: 代表取締役
・お名前: 青木 悠紀子
・資格: 訪問看護認定看護師・居宅介護支援専門員

自分が住んでいる地域は自分で良くしていきたい

ーー看護師さんでいらっしゃる青木さんが、介護業界に携わろうと思ったきっかけを教えてください。

元々病院勤めをしていたのですが、子育てのタイミングで一旦病院を辞めたんです。その時にちょうど訪問看護事業が横浜市のモデル事業として始まって、訪問看護に関わったんですよ。それで私みたいな者も待っててもらえるという喜びを感じ、少しでも自分にできることがあればいいなという気持ちから訪問看護を始めました。

訪問看護歴は25年ですね。だんだん訪問看護や医療だけではなく、地域に根差した事業をしたいと思い、お世話になった先生方にわがまま言って退職して介護業界に入りました。

経営者という意識ではなく、看護職の自分にできることは何かを考えていったら今の事業展開になっていきましたね。あまり気負ったことも考えないで、福祉、介護職、医療と一体になってやってきました。


ーーこの根岸でやろうと思われたのはなぜですか?

私自身が根岸に住んでいたので、自分が住んでるところは自分で良くしていきたいという想いはありました。自分が施設に入るんだったらここに入りたいと思える施設を作りたくて始めました。
今も現場には少しだけ出ています。現場の大変さを知らないとスタッフの気持ちも分からないし、自分の目で見て確かめるってことが大事だと思います。スタッフも現場のことが分かっている経営者と仕事した方が良いと思うので、今後も両軸で考えていきたいですね。

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ご高齢の方と子どもが触れ合うことで生まれる素敵な景色

ーー医療的ケアが必要な方を対象に、介護施設と児童施設を一緒に運営されている事業所は珍しいと思います。それを始めようと思ったのはなぜでしょう?

施設に行った時、高齢者ばかり集まっている環境に違和感を覚えたことがあったんです。なので、高齢者が子どもと交わることで微笑ましいと感じたり、日常の中に希望が見いだせなかった人が小さい子の成長が楽しみになったり、あたたかい感情が沸いてくると思うので、一緒にいることは良いことだなと思ったんですよ。

ーー訪問看護に従事されていた時と、今の環境で、ご利用者の感情や表情が違うのを感じたことはありますか?

そうですね。表情が少なかった方が普段は見せない笑顔や、手が伸びないと思ってた人が子どもを触ろうとして手を伸ばしている姿などを見ると、やって良かったなと思いますね。本能的に愛おしく感じているんだなって感じます。

「現役」という言葉がありますが、これは仕事だけではなくて、生きていく上での役割ということもあると思っていて、その役割に触れることで元気でいられるんだろうなと思うんです。お子さんやお孫さんに出会うことで、おじいちゃん、おばあちゃんとしての役割になれるんじゃないかなと思います。

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仕事をする意味を深く考えることでやりがいや成長に繋げていく

ーー私が福祉用具の仕事をしていたときに、車いすを一つ入れただけでその方がやれることが増えて、華やかな表情をされたことがあり、そういった瞬間に立ち会えることが私のやりがいでした。今後の介護を含めて「これが私たちの介護の軸」というものがあればぜひ教えてください。

一つ一つのケアの意味を考える習慣を持てば、もっと尊い仕事をしているという自負が持てると思うんです。看護師は何かをするとき必ず根拠を考える(アセスメントする)習慣があり、私が看護出身だからそう感じるところもあるかもしれません。例えばご飯を普段と変えたらいつもより食べてくれたという時に、なんで食べられたのだろうと深めて考え、それを自分の頭の中で整理して積み重ねていくことが出来れば仕事の面白さが変わっていくと思います。

こなす仕事はこの業界には合わないと思っています。こなさなきゃいけないけどこなす意味を分かっていないからやりがいに繋がらなくて、自分に自負が持てなくて、疲れちゃうから辞めるか、もう少し給料の高いところへ行こうかなって考えちゃうんですよね。私は介護職のみんなはそれぞれに役割があるだけで、上下関係はないと思うんです。

振り返ってみたら、自分が成長していて3年前は看られなかった人を今は問題なく看られるようになっていたり、この人はこんなに元気になったんだと知ることができたりすると、すごくやりがいを感じますよね。今の介護職はそういうことが不足してるんじゃないかという気がします。


ーーモチベーションを維持してもらったり、やりがいを感じてもらうために、従業員、スタッフさんに対してどのような関わり方をしていますか?

自然体で仕事をしてほしいので、「その人らしさ」が出せる環境作りができればいいなと思っています。初めての人はまず肯定しながら、課題に思うことはいつ言おうかなとタイミングを図っています。あとはよく「反省しなくてもいいから振り返りをしましょう。反省して落ち込んでいたら身が持たない。振り返りをして次に活かせばいいから!」というアドバイスはしていますね。

また、私自身が止まらないように気をつけています。ケアのことはもちろん、事業展開についてなど前を向いて進んでいきたいと思っています。その原動力は利用者のニーズから出てきますので日々の業務に真摯に向き合っていきたいと思います。

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地域ケアの為に、職種や事業所の垣根を超えて一丸となる

ーー今後介護業界の中で先端技術の導入が進むと思うんですけれども、そういった先端技術に対してどのように思われていますか?

使えるなら使っていいと思います。ただそれだけに頼るのも良くないと思ってます。

実際にスマホやiPadを普及させて、ここに来なくても情報が取れるように整備を進めてきました。今まで報告書も紙ベースでしたが、今はLINEのようなビジネスチャットのアプリを使って、その日の連絡をやり取りできるようにしました。画像も送れるのでケアマネジャーさんとグループを作ってそこに写真を載せることで、日々の情報の共有ができるようになりました。今までできなかったことができるようになった良い例です。導入するまでは大変なんですけど、導入してしまえば結構使えるんですよね。

医療機関との連携では、「メディカルケアシステム」などを活用して、かかりつけ医や在宅診療の医師と直接やり取りをしています。ただ便利なものを取り入れてそこに甘んじるのではなく、私たちが看ているのは「人」であることをしっかり認識しながら、うまく取り入れたいなと思います。


ーー今後、悠の木さんはどのようになっていきたいですか?また、これからの介護について思うことがあればお聞きしたいです。

ケアなくして医療だけでは地域を支えられないし、生活している方々が安心して過ごせないと思います。なので、職種や事業所の垣根を越えて地域みんなで一丸となって協力していきたいです。そのために、研修会などお互いに研鑽する機会をつくり、専門性を知ることから始まり、お互いの情報を共有しあって高め合い支え合い、最終的には阿吽の呼吸で仕事ができるようになればいいなと思っています。

■編集後記
地域包括ケアシステムが推進される中、以前から介護職・医療職と言った職種の垣根を越えて、地域で連携することを考え、実践されている青木さん。インタビューを通し、地域ケアや様々な世代の方が共生する事が、その人らしく生活する上で大切だと言う事を改めて実感しました。地域ケアの実践、ICT化の実践共に、今後の介護業界において必要な事ではありますが、その先にいるのは「人」と言うことを忘れてはならないと感じます。

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地域ケアプラットフォーム推進本部
関東エリア担当 松澤賢治(まつざわけんじ)
車椅子のシーティングが好きな福祉用具専門相談員。
趣味は登山やキャンプなどのアウトドア。

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