成人の8人に1人が該当する腎臓病の食事療法のポイントを紹介!
皆さんは腎臓が体のどこにあってどんな働きをしているかご存知でしょうか?
腎臓は腰のあたりに左右対称に2個あり、ソラマメのような形をした握りこぶしくらいの大きさの臓器です。普段はあまり意識しないかもしれませんが、老廃物を体から排泄する・血圧を調整するなど生きていく上で大切な機能を担っています。
腎臓病の患者は年々増加傾向にあり誰にでもかかる身近な病気になっていて、現在は成人の8人に1人が該当すると言われています。
ここでは腎臓病がどんな病気なのかと食事療法のポイントについて解説していきます。
1)腎臓病とは
腎臓病と一口に言ってもさまざまな種類と原因、症状があります。
(糖尿病性腎症、慢性腎臓病、腎不全など)
腎臓病の初期には自覚症状がありません。肉眼的に尿の異常が分かるのも稀なケースで、腎炎は10年以上にわたって無症状で経過します。定期的な健診を受けるようにする事で早期発見が可能です。腎臓の働きの低下は血液検査の「クレアチニン値」などにより判定されます。
腎臓病が進行すると、体内の老廃物を尿中に排泄できなくなって血液中に有害な物質が多くなったり、逆に体に必要な成分が尿中に排泄されたりします。
多く見られる症状として
・むくみ
・高血圧
・貧血 などが挙げられます。
治療を続ける事で自覚症状はなくなりますが、進行すると腎臓の機能が回復しなくなりほとんど全身の臓器に異常をきたし、様々な症状が出てきます。
症状がないからといって診察や治療を受けなかったり、生活習慣を改めなかったりすると腎臓病を発症する可能性が高まると言われているので肥満や喫煙、過度の飲酒、ストレスなどにも注意が必要です。また、腎臓は加齢とともに機能も低下してしまうので、高齢者ほど発症する確率が高くなります。
2)食事療法のポイント
腎臓病になった時の食事療法のポイントは以下の通りです。
・たんぱく質の制限
たんぱく質は体を作る元になる大事な栄養素ですが、体の中で代謝されると尿素窒素という有害な燃えカスが発生します。腎臓はこの老廃物を一緒に排泄してくれますが、機能が低下すると排泄する事が難しくなります。この老廃物の元となるたんぱく質を減らす事で心臓への負担を軽くする事ができるため必要以上に摂らないように制限する必要があります。
・塩分の制限
塩分を摂り過ぎると体に水分が溜まり、血圧が上がりむくみが出ることがあります。高血圧になると腎臓に負担がかかるので塩分の摂取を制限する必要があります。高血圧がなければ1日あたり6~7gの制限で十分です。2~3gの極端な制限は食欲をなくしエネルギー不足の要因になりかねませんので注意しましょう。
・十分なエネルギーの補給
エネルギー不足の状態では栄養状態が不良になり、体のたんぱく質がエネルギーとして使われ筋肉や体重の減少に繋がり疲労や脱力感が現れてきます。つまり、体を維持できるだけの十分なエネルギーを摂らなければたんぱく制限食は無意味になる上に栄養失調という生命の危機に陥ってしまうのです。
・カリウム、リンの制限
カリウムは通常尿として体から排泄されますが、腎臓の働きが低下するとうまく排泄されなくなり血液中に溜まる事があります。ステージに合わせて摂取を制限する必要があります。服用している薬や症状などで変わってくる場合がありますので医師や管理栄養士のアドバイスを受けるようにしましょう。
3)まとめ
腎臓病と食事療法のポイントについて解説しました。
腎臓病の食事療法は自分だけで管理・継続しようと思うととても大変です。無理なく継続するためにはご自身での管理に限界が来る前に便利な冷凍のお弁当や市販の治療用食品などを取り入れる事がコツとなります。低たんぱく食や減塩食を続けるためにはまず自分に合った食生活であることが大切です。食べてはいけない食品があるわけではありませんので、できる限り自分の好みの食品を取り入れ、好みの料理と調理で食べるようにしましょう。
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野口久美子(のぐちくみこ)
兵庫県生まれ神奈川県在住。
管理栄養士を取得した後、デイサービスと保育園の複合施設で献立作成や調理、食品メーカーでデザート開発を経験し独立。
現在はフリーランスとしてダイエットサポートやコラム執筆などで活動中です。趣味はスポーツで最近はキックボクシングにはまっています。
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