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目指すのは、「その人らしさ」を支える介護

こんにちは!福岡AC(エリアコミュニケーター)の豊嶋です。

介護に従事する皆さんは常に忙しく、特にコロナ禍ではいつも以上に神経を使い業務に当たっておられることと思います。そんな中で、「そもそもなんで自分が介護に関わっているのか」を振り返ったり、ちょっと先のことについて考えたり、自分がその中でどうしていきたいかに想いを廻らせたり、そんなきっかけになる記事をお伝えできるといいなぁと思って、新しいシリーズを企画しました。

「これからの介護を考える」シリーズをスタートします!

情熱と独自の哲学を持ち、特徴ある介護事業所運営をされている経営者の方にお話を伺い、「これからの介護」について考えていく連載にしていきます。

今回は、第一弾として、福岡市に本社を置く有限会社であい 代表取締役 藤本由紀さんにお話を伺いました。であいさんとの出会いは(ダジャレじゃありませんw)は、もう7~8年前。当社が創業間もないころに代表の鹿野がお会いしました。

ケアマネジャー出身の藤本さんは、当時から利用者さん1人1人の個別性を大事にする温かい介護をされる方という印象で、今回はそんな藤本さんの介護観や、それを育んだご経験などを改めてじっくり伺いました。

■法人情報
・法人名: 有限会社であい http://www.kaigodeai.com/company/index.html
・種別: 住宅型有料老人ホーム1・居宅1・通所介護3・グループホーム2・訪問介護1・保育園1
・本社住所: 福岡市城南区東油山6丁目5-33 
■プロフィール
・役職: 代表取締役
・お名前: 藤本 由紀
・資格: 主任介護支援専門員・認知症ケア専門士

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働いていて感じた違和感から、自分の追求する介護へ

ーー介護業界に入られたきっかけはなんだったんですか?

藤本さん:
私はおばあちゃん子で、結婚しておばあちゃんを引き取ったのですが、誤嚥性肺炎で入院しそのまま亡くなってしまいました。当時の私は病院に入れば治ると思っていました。亡くなったのは自分のせいじゃないかと悔み、それから介護をやろうと思うようになりました。

最初に勤めたのは特養(特別養護老人ホーム)で、資格を取りながら働きました。「時間内に終わるのがいい介護職」という考えで、食事も何人かまとめて食べさせて、利用者さんがお風呂にまだ浸かりたいと言ってもやめさせなければならない。そういう介護に慣れてしまう自分が怖くなって辞めました。

ーー僕も以前介護現場にいて、僕がいたところも「時間内に終わらせるのがいい介護職」というところでした。中にいて、これは何か違うって気づくのはなかなか難しいと感じます。特にその特養は藤本さんにとって初めての介護の職場だったんですよね。藤本さんはどうしてそれに気づけたんでしょう?

藤本さん:
自分だったらどう思うだろう、と。
例えば、入浴するときにお部屋で脱がされて車いすで移動させられますよね。自分だったら嫌だなと思ったときに、ここは辞めなきゃいけない、と思いましたね。利用者さん本位じゃなかったんでしょうね。

利用者さんが喜ぶことを考えたり、お部屋の掃除をする時に利用者さんと話したりすることがサボっていると評価される場所にいてもしょうがないと思いました。

そして次に、1対1の介護をしてみようと、訪問介護の事業所に入りました。そのとき勝手にボランティアで近所の方の買い物の手伝いなんかをしていたら、「私に介護が必要になったらあなたお願いね!」なんて頼まれるようになりました。それで独立して自分の好きな介護をしたいと思うようになりましたね。

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ーー印象的な利用者さんとのお話があれば、聞かせてください。

藤本さん:
みちこさんっていって、当時は「みっちゃん」って呼んでいた方がいるんですけど。私がグループホームを建てるきっかけになった方なんです。

デイサービスの最初の利用者さんで、認知症で多発性脳梗塞を何回も起こされた方で、でもタバコが好きな方でした。その方のご家族が離婚したり病気をされたりして、みちこさんを特養に入れるという話になったときに、無理だろうと思って、ご家族とも相談し、妹と二人でうちに来てもらうと決めました。

8か月間、お風呂にも一緒に入って、生活を共にしました。すると、例えば言葉が出なかったのに「行く」とか「食べたい」とか言葉を発するようになったり、できなかったことができるようになってきたんです。一緒に生活したおかげで、デイサービスで短時間過ごすだけではわからなかった認知症の方のことが良くわかりました。それで、グループホームを建てたんですよ。

ーー利用者さんを引き取り生活を共にし、その方のためにグループホームをつくる、なかなかできないことだと思います。であいさんの理念、「その人らしい生活を大切に、やさしい介護」に通じますね。


大事にしている理念、「その人らしさ」を支えること

藤本さん:
「その人らしい生活を大切に」、これ、簡単な理念に聞こえるかもしれないですが、難しいんですよ。

その人をよく見て、その人がどんな人生を歩んできたかを知って、その人がどんな生活を望んでいるのか考えていく。そのために私たちはどのような手助けができるのかを日々模索している状況です。


ーー僕が介護現場にいたころ、高齢者を一括りにしてしまう若いスタッフも多いなと感じました。例えば70歳と100歳では30年も違うから、その人たちにとっての青春の歌なんかも全然違いますよね。その人らしい介護って本当に難しいと思います。

藤本さん:
そう、だからこの理念は言葉では簡単だけど難しいんです。でも、1人1人のことを考えることは難しいけれどすごく楽しい。喜んでもらえると本当に嬉しい。それをうちのスタッフにも知って欲しいなって思いますね。


理念浸透のために、自ら現場に入りスタッフとの距離を縮める

ーーその人らしさを大切にする介護を実践するために、大切にしていることや工夫していることはなんでしょうか?

藤本さん:
理念の研修は年に一回必ず全員で行っています。その中で一番大事にしているのは「利用者さん第一に考えられるか」ということです。

また、この理念を理解してもらうためには、スタッフ自身を理解していくことがすごく大切だと思っています。社長だからといって上下関係を作りたくないので、言いたいことがあれば誰かを経由せずとも私に直接言ってほしいと常に伝えています。今も現場に入りますし、看護師以外の仕事は全部させて頂いています。現場にいたら私も一職員ですし、現場いるのはやはり楽しいですね。

世代が違うと仕事に対するスタンスが違うなと思うこともあるんですけど、利用者さんに対して気持ちのある、「その人らしい生活」を大切にできる人を育てていきたいです。

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編集後記:
今後の介護業界は、戦前~バブル経験者の高齢者が一緒に生活することになるので、「ケアのやり方」ではなく「高齢者に対する気持ち」がますます大切になってくるはずです。

であいさんのように「その人らしい生活」を理解した上で高齢者に対する気持ちを持つことができれば、自分の軸を持って介護を行えると思います。それは、難しいことですが、働く方たちにとっても意味のあることだと感じました。(豊嶋)

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地域ケアプラットフォーム推進本部兼介護福祉士
福岡エリア担当 豊嶋 満久(とよしま みつひさ)
ドライブで山に行くのが好き。

豊嶋さん 編集後記写真


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