行ってよかった
3月29日(金)
朝、目が覚める。
小鳥の声が聞こえてくる。愛らしい。至福。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。
暖かい。そよ風がきもちいい。あぁ、きもちいい。深呼吸する。新鮮な空気で満たされる。クローバーが もりもり大きくなっている。
カカオにご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにタブレットのエサをあげて水を換える。
ごはんさんのメダカちゃんたちにエサをあげる。みんな水面に顔を出してパクパク食べている。
修一郎の食事を用意しておく。
コープさんがやってきた。配達担当のNさんは翌週から新しい地域へ移動になる。新しい場所でも楽しく配達できるといいなと願う。
グリーンコープさんの元気カーがやってきた。
お買い物に来ているご近所の方とおしゃべりしながら買い物かごにミルクや卵やヨーグルトを入れてゆく。
はなおさんに代わってアグリさんが担当になっていた。
アグリさんが自分で作った無農薬の里芋をくれた。
「小さいけれど種も無農薬のものを蒔いているので安心ですよ。」と言って笑顔のアグリさん。
家まで運んでくれる。
わが家の小さな花壇とクローバー畑、多肉植物を見る。
「植物好きなんですね。」と、アグリさん。
「好きです。」と、私。
「今まで野菜ばっかりだったから、今度花を育ててみようと思ってて。」と、アグリさんが言った。
「いいですね。」と、私。
「妻が亡くなったんです。妻にお供えするのにいいかなと思って。」と、アグリさんが寂しそうに笑った。
胸が きゅうっとなった。奥様はとても喜んでくれることだろう。と思った。
桜の季節。
桜の季節にこもれびの森に行ったら、ごはんさんが何kmにも渡って植えられている枝垂れ桜を見に連れて行ってくれることになっていた。
でも、ごはんさんは入院中だ。気に留めてくれていたのか、「今日は晴れて暖かいね。カメに食パンをあげに行っていた公園も桜がきれいだよ。」と、教えてくれた。その公園は近いので私だけでも行くことができる。
入院している大変な状況なのに、身体が辛いだろうに、気に留めてもらえてありがたいなぁ。と、しみじみ思った。そして、行ってみようかな。と思った。
オレンジ色のマーチに乗って、しゅっぱーつ!
少し車を走らせると、チャイさんと ぷりんさんがアパートの駐車場にいた。もう赤ちゃんが産まれている頃だろうと思っていたのでびっくりした。大きなおなかを抱えて ぷりんさんは辛そうだ。
「どうしたの?」と、私。
「病院行って帰ってきた〜。昨晩から2回目。」と、チャイさんが笑った。
チャイさんが銀行に行きたいということで、私が ぷりんさんといっしょにいることにする。チャイさんが慌てて置いていった冷凍の野菜なんかを冷凍庫にしまってゆく。
ベッドの上にふたりで並んで座る。手作りのポーチとか、いろいろ可愛いものを見せてもらう。おしゃべり。チャイさんが帰ってきた。少し話してから公園に行くことにする。
車のエンジンをかけた。かからない。え。なんでだろう。えい。えい。かからない。
ごはんさんがいないので、またJAFに電話をする。電話に出た女性が
「先日も連絡くださった方ですよね。日産マーチの…。」と、驚きながら優しく言った。
「はい、またなんです。先日はありがとうございました。今度はエンジンがかからないんです。」と、私。
今日は混んでいて1時間半後くらいになるらしい。アパートに戻りチャイさんに説明して、JAFの人が来るまで車を駐車場に置いとかせてと言う。
「オレ見てみましょうか?そんな詳しくないけど。」と、チャイさん。
いっしょに駐車場に行く。
運転席に乗ってもらう。体の大きなチャイさんは運転席に ぎゅうぎゅうだ。
ぶるるるるる。
あ、かかった。
「みるさん、ドライバに入れてエンジンかけてたね。」と、チャイさん。
え。あっそうか!ぷりんさんを見て慌てて車から降りようとして、ドライバのままエンジンを切ったんだ。故障じゃなくてよかった。
急いでJAFの人に連絡をしてキャンセルする。ほっ。
気を取り直して、しゅっぱーつ!
途中で食パンを買う。カメちゃんにあげるのだ。
桜が咲いている。池の辺りは満開に近い。今日は人が まぁまぁいる。
橋の上から池を眺める。カメが ぐんぐん泳いできている。か、可愛い!まるまる太った鯉もやってきた。小さなカメが もみくちゃになっている。可愛い〜〜!
可愛い〜〜!と、50回くらい言ったと思う。暖かくなってきて、いきいきしている。食パンをちぎって どんどん投げる。パクパク食べている。楽しいなぁ。
食パンをあげて満足したので公園の散歩道を ぐるりと歩くことにする。散歩道の桜は まだあまり咲いていなかった。でも、緑色のもみじと、咲きはじめたうすいピンク色の桜の重なりが美しかった。健やかな自然のハーモニーだ。
いつものベンチで休憩する。少し咲いている桜と、地面の緑色のコントラストがすごくきれいだった。そこに木漏れ日が ゆらゆら揺らめいている。とても心地よい風が吹いてきて うっとりする。ずーっとこの風に吹かれていたいきぶん。
ごはんさんが勧めてくれていなければ思いつかなかった。来てよかったなぁと思った。
少しお買い物をして家路に着く。
途中、緑の麦畑を通る。きれい。サワサワしてフサフサしてキラキラしている。麦畑大好き。本当にきれいで うっとりする。緑色の海のよう。胸の中が麦畑でいっぱいになる。
家に帰りつく。
夕食の支度をする。
絵本のスケジュールハガキを送るための宛名シールをプリントアウトする。
夜、庭に出る。
静か。青墨色の空にうすい灰色の雲のグラデーション。クローバーたちは葉を閉じて すやすや眠っている。可愛い寝息が聞こえてきそう。夜のぜんぶに「おやすみ。」を言う。
今日もいい一日だった。
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