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電話をしてみた

7月8日(月)
ピンポーン。チャイムの音で目が覚める。なんとか起きて「は〜い!は〜い!」と言いながら よろよろっと玄関へ。

ガラガラッと勢いよく戸を開けると誰もいなかった。

クローバー畑に大きなトンボが飛んでいる。小さいのも飛んでいる。赤と青。きれいだなぁ。朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。

カカオにご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。

ブドウの皮を剥いて蜂蜜漬けにする。
レモンとココナッツのスコーンを焼く。

今日は 1件電話をかけようと思っている。

わが家の道路に面した駐車場の端っこに小さな電柱が立っている。
車の出し入れに少し不便があった。でも、21年間そうだったので慣れてしまい電柱のことを考えることもなかった。

そんな中、2年前に隣の土地を購入してクローバー畑にした。そして、その電柱を挟んで駐車場を作ってもらった。来客用の駐車場にしようと考えたのだ。今までは、わが家の前に すこぉしスペースがあったので、そこに停めてもらっていた。ただ、アカシアやバラが茂っているので、みんな車からの出入りがしにくそうだった。

初めのうちは新しい駐車場に停めてくれていたのだが、「電柱があるので停めにくい」と、誰も停めなくなった。駐車場を作ってくれた浩ちゃんも停めなかった。それはそれでまぁいいか。と、思っていた。

すると、みんなが「電柱撤去してもらえるんじゃないの?」と、私ではまったく思いつかないことを教えてくれた。

おぉ。画期的なアイデアだ。

そこで、電柱を撤去してもらおうと思った。のが、1年半くらい前。でもなんとなく面倒臭いし、どこに連絡したらよいか分からないし、調べるのも億劫なので ぐずぐずしながらそのままにしておいた。

それが、最近ひょんなことから電柱が敷地内に入っている調査員の方の電話番号が分かった。

それで、電話をかけてみようと思ったのだ。ちょっとドキドキする。うまく説明できるだろうか?

何かを説明すると大体、「何を言っているか分からない。」と言われる。説明するというのは本当に難しい。分かりやすく説明できる人を尊敬する。

電話に出られたUさんはとても親切で丁寧だった。優しい口調。なんとか説明をする。すると、管轄がちがっていた。正確な地域の電話番号を調べて教えてくれた。

また電話をする。
こちらの担当のKさんも朗らかな感じのいい方だった。しどろもどろになりながら、なんとか説明をする。

「Googleマップで見ているんですが、この平屋のお家ですか?」と、Kさん。

「そうです。」と、私。

「マーチが停まっていますね。」とおっしゃった。

「そうですそうです、オレンジ色の。」と、私。

Googleマップの画像を見てマーチだと分かるなんてすごいなぁと思った。19年も前の車なのに。

「そして、茶畑がありますね。」と、Kさん。

「え。茶畑?クローバー畑です。」と、私。

電話を持ったまま外に出て電柱の番号を伝える。すると、

「これは九電ではなくてNTTさんの管轄ですね…。」と、おっしゃった。

NTTの電柱撤去の連絡先の調べ方を教えてくれた。今日は力尽きたので、今度 きもちが向いたら調べることにする。

電柱を見上げていると、

「あ$%&*☆!」と、声がした。キョロキョロするとOさんがいた。

「こんにちは。」と、あいさつをする。

「ココナちゃん家におる?」と、Oさん。

Oさんはカカオのことを ”ココナちゃん” と呼ぶ。

「あ、カカオですね。」と言うが、「うん、ココナちゃん。」と言う。思い込みってすごい。誰のことを言っているのか分かるのでそれでいい。

「いませんよ。」と、私。

「クロもおらんったい。どこおるかなぁって探しよんやけどね。」と、Oさん。

「ふたりで遊びに行ってるんでしょうね。」と、私。

「どこ行ったかなぁ。」と、Oさん。

「きゅうりさんの裏庭じゃないかしら。木陰があって涼しいし。」と、私。

「きっとそうや。」と言って、Oさんがビーバーみたいな笑顔になった。

家に入り仕事をする。
今日は寝かせておいたラフの再調整。ものすごく集中した。また、壁に貼っておく。

夕食の支度をする。修一郎の分はお弁当仕立てにして ふたつ作っておく。

夕方、お買い物に行くため ごはんさんのところに行く。
にりんさんとアランくんが裏庭で遊んでいた。

おもちゃで もみくちゃになっているアランくんが可愛すぎる。
ジャーキーをもらうために、よだれをタラーっと垂らしながら「待て」をしている。「よし。」と言われてジャーキを口に入れる。

そして、ジャーキーを口に入れたまま得意そうにこちらに向かってやって来る。可愛い。自慢しているのかな。「すごいね!アランくん!」と褒める。何回もらっても必ずこちらにやって来る。本当に可愛い。

お買い物に しゅっぱーつ!
ハーゲンダッツのストロベリーアイスクリームを買う。

今日の空もきれいだった。うすいベールのような雲とシュークリームみたいな雲。空の色がなんとも言えず美しい。淡い水色と淡い金色が織りなす空模様。うっとり。ごはんさんと空を褒めながら帰路に着く。

ストロベリーアイスクリームを食べながら 10回くらい「おいしい〜。」と言った。最後には、おいしすぎて ため息まじりに「おいしかった…。」と、締めくくった。

夜の少し前、花壇とクローバー畑に水を撒く。ほかほかの大地に水が染み込んでゆく。植物たちが きもちよさそうだ。

夜、庭に出る。
夜空にクジラのような雲が浮かんでいた。夜の海をゆっくり泳いでいるようだ。クジラ雲と波雲の隙間に ぽつりと星が瞬いていた。

ごはんさんに貸してもらった双眼鏡で星を見てみる。少し大きく見えた。ふわっとした牡丹雪のよう。ひとつの星のまわりに小さな煌めきが無数にあるように見える。胸が高鳴る。今度、澄みきった星空を見るのが楽しみだ。夜のぜんぶに「おやすみ。」を言う。

カカオはまだ帰ってこない。クロちゃんは帰ったかな。

今日もいい一日だった。

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