「出来ごころ」に泣く
OZU 〜小津安二郎が描いた物語〜
第1話 「出来ごころ」観て、ちょこっと感想を書きました。
――以下ネタバレを含みます――
何度観ても泣けてくる。
田中圭さんが演じるダメ親父が大好きです。
女好きで酒や博打がやめられないダメ親父だけど、なぜか憎めない。
それはきっと、行動や仕草や子供と向き合う時の表情から愛情深さとその純粋さが伝わってくるから。
春江にプロポーズしようとスーツに花束を用意して食堂へ行く。でも、そこで おとめさんに春江が次郎に恋煩いをしているから仲を取り持って欲しいと頼まれるが。
2人を応援する方向に 気持ちを転換する喜八。
ここは喜八的に大丈夫なのかな?って心配してしまったけど、最終的に2人に「よかったな」と声をかける喜八って全然ダメ人間じゃないし本当にいい人だと思う。
きっと、自分が幸せになることも 信頼している人が幸せになるのも 同じくらい幸せだと思える人間なのだ。
富坊が深刻な病気だと知り、息子にとっての本当の幸せが何かを思い誤ってしまうのは それほど富坊が大切で正気でいられなかったのだろう。
そこで タイトル「出来ごころ」という文字が生まれる。
絶対に失いたくないのに 手放そうとしてしまう喜八。
空に遠くなる赤い風船が気持ちを映すかのように演出されているのがとてもいい。
戦慄して顔つきが切り替る。さすがの圭さんのお芝居。
今、取り戻さないともう 会えないかもしれない。後悔しか残らない。喜八が追いかけて走り続けるシーン。
決してかっこいい走りではない。ゼイゼイ息が上がりそうになりながらの みっともなさが よりリアルで 気持ちが伝わってきて胸が締め付けられそうだった。
ここは城定監督の長回しワンカットがより効かせてくれる。さすがのクライマックスシーン。
「俺は何やってんだ」
(俺はバカだ)←セリフにないけどそう聴こえた。
そして富坊がバスから降りてきて 手を叩いて広げるポーズ(父への愛情表現だと思ってる)をした時 もう私の視界は涙でボヤけていた。
喜八の息切れの「ばかやろ…」が追い打ちをかける。
抱き合ってしがみつく富坊にも泣かされる。
いやぁ。何回も泣かされます。
何度、観てても毎回。
後でスッキリするくらいに(笑)
人生なんて 毎日が楽しいことばかりじゃないし、勘違いしたり失敗したり、滑稽で喜劇じみたりするけど、普通の日常の中に大切で幸せなものがあると気づかされる すごく人間味のある物語だ。
でも、圭さんも言ってたように そういうのはどれだけ年月が経ってもあるような普遍的なもの。
だから、こういうドラマ 時々観たくなります。(再確認的に)
それに再会できて幸せな親子のシーンで幕引きが突然なのに ほっこりする。それは その後の2人を想像してしまうから。
観た人の脳内で余韻をたくさん楽しめるドラマなんです。
もし、良かったら何度でも観てください。ぜひ。
泣かされますから。
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