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記憶の中のキーフレーズ

コピーライターになりたい。
と、はじめから思っていたのではありません。

というか、無知な私はその職業があることすら
大学生になるまで知りませんでした。

文学部に入ったし、将来は詩人?国語教師?と、
ぽーっと考えていた頃です。

当時、テニスサークルに所属しており、
合宿のレクリエーション企画係だったのですが、
そのとき一緒に企画を担当していた
女性の先輩と、
眠たくなりそうな暖かい春の日、
阪急電車に並んで座っていました。

先輩はふと、
「あなたは企画に向いてるから
コピーライターとかええんちゃう?」と言いました。
「コピーライチャア?」初耳でした。
いつものごとく聞き間違えて、
頭の中は「???」状態に。

よくわからんけど、横文字やん。
ええ感じやん。

大学の生協で
「コピーライターになるには」
という本を買いました。

コピーライチャア、は間違いで、
コピーライターのことで、
どうやらテレビや芸能界と近くて
キャッチフレーズを書くひとで。。。
とわかってきました。

高校時代は『歩くテレビ欄』と
言われたほどテレビが大好き。
芸能レポーターとかもいいな。。。
と、思っていたため、
やってみたいなあ。と思いました。

でもしばらくは妄想レベル。
アイドルのオーディション番組に
ハガキを出そうとした小学生のときと
感覚は同じで、
本当になるとはあまり思っていませんでした。

ところが、あるCMを見て、
やっぱなりたい!と強く思ったのです。

それは、ダイヤモンドのCM。
モデルは池上季美子さんでした。

海辺で座って風に吹かれているだけ、
というきわめてバブルっぽいCM映像です。

「ひとおもいに傷つきたい」
それがキャッチコピーでした。

カッコええ。
そこからまじめにコピーのお勉強を
することになったわけですが、

ダイヤモンドの特性から考えて
「いっそ傷つきたい」というコピーだと
ずーっと何年も思い込んでいました。

それが間違っていたことに
たまたま先日、金スマの番組内で
その懐かしいCMを見て気づきました。

記憶の中で勝手に書き換えたんですね。
あのCM音楽は高橋真梨子さんの
「桃色吐息」だったのか。。。

その後、長い時を経て、
ダイヤモンドではないけれど
その会社の広告コピーを書くことに
なったのですが、
あのCMについて聞くのを
すっかり忘れていました。

なので、あれが誰が書いたCMコピーなのかは
いまだわかりません。
ネットで調べても出てきませんでした。。。

おもいがけないフレーズが、
未来を決めることがあります。

阪急電車の中で聞いた
先輩のさりげないフレーズ。
テレビから流れてきた
CMのキャッチフレーズ。
広告業界という
未知の扉を開いた
記憶の中のふたつのキーフレーズ。

これからは、
どんなフレーズと出会えるのでしょうか。