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近くを通ったので

 決して大袈裟に言っているのではない。
私は今年、二度“死ぬかも”と思った。2月と5月、兎に角大変だった。今ようやく身体が落ち着いてきたので、ここに書くことにした。自分の身体は自分がよく解っていると、無駄に自負している。多分、だからだと思うのだが、お世話になった人に会いに行った。夏の始め、百貨店の棚に涼菓が並び始めているのを横目で見ながらふと、これを恩人に持って行かなければと思い立った。

 恩人になるその人と一番最初にお会いした時、下の子はまだ私のお腹の中にいた。その子と手を繋いで涼菓を手渡しに伺った。お世話になってからもうすぐ三年が経つ、たまたま書類をやり取りした際に生年月日を見たので、同じ歳と知った。でも不思議なもので、私だけではないと思うのだが、同じ歳というのは、おおよそ解っていた。…私だけなのか…。何にしても、私達世代は苦労が絶えない。超氷河期の哀愁が滲み出ているように思う。その哀愁をキャッチしてしまうのである。

だいぶ脱線したが、突然伺った私達親子に恩人は、驚いていたが嬉しそうにしていた。その姿を見て、私も安心して嬉しくなった。私達家族の恩人は相変わらず、柔和でどっからどう見ても誠実な様子が見て取れた。何の知らせもしないで伺ったので、ほんの五分足らずの立ち話だった。

お久しぶりです。お元気ですか。その節は本当にお世話になりました。近くを通ったので、ご挨拶に伺いました。

この人が手伝ってくださるに違いないと見ず知らずの人ながら、私には不思議と確信があった。ある日の晩、運転中の信号待ちのほんの一間だった。20時過ぎの夜道に光々と光る事務所。その中で一人、机に座る恩人の姿が脳裏から離れなかった。

 この私のnoteに恩人が気付く日は来るのかは分からないが、私達家族は、貴方に救われました。本当にありがとうございました。心より、貴方様と貴方様のご家族の益々のご健勝とご多幸を願っております。


追伸と言っては、本当に失礼になるので、以下は追伸ではありません。

 実は私はもうお一人、お礼を言いたいのに言えていない方がいらっしゃいます。次、その方にお会いできたら今度こそ、お礼とお礼が遅くなった経緯を話したいのです。

ここまで読んで下さって、ありがとうございます。
新作できました。↓朗読しております。

https://note.com/iojupiter411/n/n67f8fdf639d0

『藍微塵の衣服』 田中貢太郎 著(「青空文庫」より)
お時間、お耳が空いていましたら、お聞きください。
よろしくお願いいたします。
io      イオ




余談
上記の事情があり身体(のど)の状態を鑑みて、3月と6月に上げた2作は一人称で語っているものを敢えて選んで読みました。あとは弱くなった心の奥の声が洩れてしまいま…。




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