異世界サイコロ旅行 プロローグ

 とても美しい高原の景色が目に入ってくる。

 遠く、高く、彼方に見える滝の下、朝陽に輝き野花溢れる湿原を舞台に優しく踊る妖精達。

 名前はもう朧げで、誰かは私の事を、「サトシ」と呼んでいたような気がする。「ヤマモト」だったか?

 大分怪しくなった記憶だが、ここでやらなければならない役割だけは忘れない。

 目の前には、地にその巨体の大半が埋まり頭だけ出した大岩がある。

 少し離れたところには、連れ添った猫? だったかな。

 そいつがこちらを心配そうに見ている。今にも泣きだしそうな目をしている。

「安心しな、もうこれで最後だから。後は頼んだよ。」

 左手に嵌めた腕輪へ優しく、そっと、何かを語りかけるようにして魔力を通すと光が溢れ出す。

「原初の証は何人も触れること能わず」

「原初の証もて次なるものを明らかにせよ」

「次なるものはさらに次なるものを明かし連環となせ」

「魔の循環の理から外れし連環は地に眠る」

「今こそは神秘が織りなす始まりの刻」

「顕現せよ! 其は、エクスカリバー!!!!」

 魔力の奔流が剣を立てた大岩を通して地脈へと流れ込み、何処からか微かに刻を告げる鐘の音が流れて来た。

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