歴史は繰り返される。クラウドファンディングの炎上。

(2023/01/21 23:14ちょっと追記しました)

バイク乗りの姉ちゃんが「バイク欲しいんで支援して!」とプロジェクトを立ち上げて炎上してると、twitterで流れてきた。

正直な気持ちを書くと「そんなもん、支援したい奴がすりぁいいし、失敗しても成功しても他人はあんま関係ないじゃん」ではあるが、クウドファンディングを研究してきた身からすると、ちょっと興味深いので記事化してみる。

元々、同じようなネタでバイク乗りの姉ちゃんが6~7年前にCAMPFIREで起案して大炎上してまして、その時に「なんで炎上したのか?」というテーマで研究した事があります。今回の件もそうだけど、ざっくり書くと

・「己の愛車はテメェで金稼いで買えや」勢。
・「クラウドファンディングで乞食してんじゃねえよ」勢。

の方々から非難GOGOな訳です。まぁ言ってる方も一理ある。
仮に「バンドやるのに楽器が欲しいです!」つって似たようなプロジェクトがあったら、迷う事なく「己の楽器はローン組んで買わんかい!!!」と言い出す自信あるし、Vtuberの「機材欲しいです!」系の案件も、心の底では「そんなの自分でバイトして揃えろよ…」とか思ってるし。

とはいえ、おそらく起案したライダーの方も、すんげえカジュアルな気持ちでノリでクラウドファンディングやってみたった!って感じで起案したんでしょうね。
プロジェクトページ10分ぐらいで書いた感じの出来だし。

んで海外のCF(Kickstarter)とかでもこういったカジュアルな乞食プロジェクトはまぁまぁ存在してまして、成功してるものも結構あったりしました。
(調べたのが数年前だから過去形)

なんで成功してるのか不思議に思い、色々調べた結果、欧米には「寄付文化」ってのが強く根付いてるんですね。キリスト教とかの影響もあるんでしょうか。あっちのセレブとかも寄付をバンバンしますしね。
クラウドファンディングという仕組みが生まれる土壌が既にあった訳です。

対して我が国では「なにわ節」が主流なんですよね。
わかりやすくいうと「一杯のかけそば的ドラマ」ですな。
なんちゅうか「起案に至るまでのドラマ」みたいなのが割と重要視されてる傾向があるんじゃないかなと思った訳です。

現在集英社から絶賛発売中の自著「推される技術」(ダイマ)にも書いてますが、例えばストレートに「バイク欲しいから寄付くれ!」よりも、

「昔お父さんがバイク乗りで、事故で亡くなってしまいました。子供の頃にお父さんの後ろに乗せてもらってからバイクが好きになり、大人になってお父さんと同じバイクを乗ろうと思ってバイトしてお金を貯めていましたが、あと少し足りません。お父さんがツーリングで行きたがってた場所があってそこに二十歳になった私をお父さんに見せに行くのに支援をお願いします」

とかだったら、おそらくこれほど炎上もなかったんじゃないでしょうか。

起案の際に嘘をつけって話じゃなく、要は「話の持っていき方」な訳です。
「なんで?」「どうして?」ってのが説明不足だと「不安」が「クレーム」になりがちなので、それが着火材料として炎上しちゃうんじゃないかなと個人的に研究してて思った次第であります。

日本国内におけるクラウドファンディングの炎上案件ってのはおおむね、

・話の持っていき方って意味でプロジェクトページ上のプレゼンが下手。
・見積もりが甘く途中頓挫しての炎上。
・支払った額に対してリターンが見合ってない。
・プロジェクトが成功してから途中報告がなくいきなりバッドな報告があり炎上。

ってのが多い感じです。
現在たくさんの国でクラウドファンディングの仕組みがあると思うんですが、お国柄と言いましょうか、国によってこういうムーブが違うだろうなぁと。

という訳で、おそらく似たような案件でまた炎上騒ぎはこの後も続々出てくると思います。なぜなら起案者はカジュアルに起案して過去のプロジェクトや炎上とかなんて一切気にしないし、今回の炎上も起案者にしてみりゃ「怒られちゃったwww」で終わる可能性が高い。

まぁカジュアルに使う人が多く出てくることはクラウドファンディング業界としては悪いこっちゃないんでしょうけど、サポートする側やプラットフォーム側は「過去にこういう感じで炎上してる案件あるけど大丈夫?」ぐらいの一言があってもいいかもしれませんな。

元在職しとったCAMPFIREの家入社長の経営コンセプトで「声を上げるのは自由、決めるのは市場」って言葉があるんだけど、まさにそれを体現した炎上騒ぎだなぁと思った。

本質的な事を言えば、俺のやってるプロジェクトだって同じようなもんだからな。「アルバム作りたいから金くれ」って言ってるようなもんだし。
それに付加価値や特別感、報告などの実直さ、作るものの内容の面白さなんかを説明してエンターテイメント性を加えてるからギリ成立してるようなもんだし。

という訳で長々読んでいただいてありがとうございました。
ここまで書いておいてなんですが、この自著の宣伝にこの記事書きました。

クラウドファンディングを己で体験し始めて、国内大手のプラットフォームの顧問になったり、炎上したりした経験を綴ってますゆえぜひお買い求めください。CDより印税率高いんです(本音)

よろしくお願いします。


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