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タイの謎のトラック: ロットイーテンの動力源はクボタの耕耘機だった

イサーン地方などのタイの田舎道の路肩を農作物などを満載したこの手のトラックがバタバタという排気音を鳴らしながらゆっくりと走っているのを良く見かける。
今回それの一台を蛇寺で有名なKham Chanot Wang Nakhin (カムチャヌート寺、Udonthaniより約60km東北東)の境内の片隅に見つけた。

これは一体どういう代物なのかジロジロ見られる機会がようやく訪れた感じ。車の前のバンパーに書かれた金文字は: ブッダのクルマ という意味だとか。この手で荷台が全部木のベンチになっているクルマも見たことあるが、それらは僧侶達を托配に連れて行ったりする目的その他に使用されていた。

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フードの中を先ず覗き込むとこんな機関が。

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左側から周って見ると、これはKのマークが付いたヘッドライト付きの機関であるとわかる。どうやらこれは車輪などを外されたクボタのKRAシリーズのようだ。とすると7-8馬力のディーゼルのハズだ。調べて見るとクボタ社は2011年にエンジンの生産拠点をタイ国内に設立したとある。余談だがこの手の耕耘機をスープアップ(チューニング)した車両?がドラッグレースでピックアップなどを相手に競走し本当に勝っている動画は見たことがある。しかしこの様なロットイーテンという車両は皆極ゆっくり走り色々な物を運ぶための道具の様だ。

この運転台も全部手作りで組み立てたという風情がたっぷり。赤青緑の模様というかアートワークはロッポンと呼ばれるらしい。

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メーター類はなくライトと方向指示器のスイッチがあるだけ。シフトユニットは耕耘機の物そのものをワイヤーを伸ばした感じでくっつけている。

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ペダル類も全部手作りで ナマコ板を切ったものに鉄筋をカットしたものが溶接されている。

車台は何か古いピックアップなどの使わなくなったものに厚い板バネで前後アクスルを取り付けた物のようだ。

タイにはこのようなトラック類が色々あるが有名な3輪タクシーのトゥクトゥクもその仲間である。あれもやはりリヤサスはガチガチに硬い'荷車'の領域。ピックアップトラックの荷台に屋根を付けて中にベンチを据え付けた'ソンテウ'なども寒い冬の来ないタイでは何時も公共交通機関として使用されている。

このようなロットイーテンにもせめてSD20とかの50-60馬力のディーゼルでも載せられたら道路の交通の流れにある程度乗って走れるのにと思った。しかし聞いて見ると、その場合は構造が複雑になってしまうし又、自動車としての登録をするための検査に通らなければならない。そうすると農耕器具としての規画から外れてしまうので自動車としての登録料と税金を払わなければならなくなり有利点がないとの事。

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塩分を含んだ赤土の土壌がこの一帯には多く、内陸部なのに塩田が近くにはある。

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こちらは別の日に町に通りかかったもの。

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作りは殆ど同様だがサトウキビ収穫用に荷台の木製アオリがいっぱいに高く作られている。

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自分は昔、非力なディーゼルのグロリアバン(4ナンバー貨物車で自動車税は安かった, 65馬力位しかなかったがトルクはマアマアあった)であちこち行っていた。確かにそういうクルマにて高速などの交通の流れに乗って走るのには時々コツが必要だった。チョットカスタムしていたのでカッコいいと、止まっているときは。しかし走って見ると 'この車ほとんどトラックね' なんてお姉さん方からは言われた物だった。でもその頃軽油はリッター60円位、燃費もよく、同様なガソリン車の1/3位の燃料代でどの友人達のクルマよりも断然頻繁に走った。そういう自分には何かこのロットイーテンの有利性がわかる(完)。


こういう感じの蛇神様。それよりも変なクルマの方が気になった。

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こちらはバンコクのトゥクトゥクのまあきれいなやつ。乗り心地はいたって硬い、メーターで運行しないのでタイ語がよっぽど上手くないと普通のタクシーを拾った方が往々にして安くつく事が多い。景色は良く見れますが。


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