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映画RRRの応援上映に行ってハマった話<ネタばれアリ>2023.5.20

2023年5月20日、場所は川崎チネチッタ。
初めてのインド映画にして、初めての応援上映。今回激戦のチケットを取ってくれた友人曰く、その状況でRRRを観るなんて最高過ぎる!!と言われました。

友人からRRRの話を聞くまで、恥ずかしながら知識ゼロで、アカデミー賞の歌曲賞を受賞していたなんてまったく知りませんでした。応援上映を観るまでにこれだけは押さえておいて、とLINEにて、”ナートゥ・ダンス”とエンディングテーマ”Sholay”のYouTube動画2本のリンクをもらいました。”ナートゥ・ダンス”を、なんの予備知識もなしで観ると二人のおじさんが足の動きが特徴的なキレッキレのダンスがすごいなぁ、ぐらいの感想でした。このダンス場面が本編ストーリーでの序盤の山場のひとつであり、観る人を魅了し、かつ重要な意味をなしているとは。。

川崎チネチッタに着くと、赤と青のペンライトや鈴などの鳴り物を持っている人、インドの民族衣装サリーを身にまとった女性もいました。サイン入りポスター前で撮影待ちの長い列が印象的でした。私の友人もサスペンダーをつけてペンライトを持ってきたくらい熱烈なRRRのファンなので、その列に並んで写真を撮りました。(後ろに並んでいたアクスタを手に持った女性に撮ってもらいました)

上演前には、今回の応援上映を開催している団体の女性スタッフさん(こちらもサリーの着ていました)が出てきて鑑賞時の諸注意などをマイクで話していました。今回、鳴り物も声出しもオーケーなので、ルールを守って楽しみましょう、という趣旨の話に、客席からのリアクションも良くて、すでにRRRが大好きなファンの方たちの熱量を感じられる雰囲気に満ちていました。静かな映画館しか知らない自分にはじつに新鮮で、この映画への期待値が一気に高まりました。

めでたくも5月20日はビーム役の俳優N・T・R・ラオ・ジュニアさんのお誕生日でした

RRRは上映時間が3時間8分の長丁場。
途中インターバルの文字が入るらしいが、日本ではインターバル休憩なしでそのまま上演し続けるらしく、それを聞いただけでも尿意をもよおしそうになる私ですが、当日は水分を極力控えて途中に席を立たないように上演直前にトイレへGO!しましたが、すずめの戸締まりの時もトイレを我慢できずに席を立ち、観れなかった場面を観るためにもう一回観に行ったクチなのでちょっと心配でした。しかし実際は、この3時間8分をトイレ大丈夫かな?などと心配する暇もなく、怒涛の名シーンの連続に大興奮のうちに映画のエンドロールを迎えることになるのでした。

作品としては悲喜こもごもありつつ爽快感ある勧善懲悪のストーリー展開で炎と水の対比をベースにしてるからとても分かりやすいです。BGMとか効果音のつけ方もドドーンとかババーン、ジャジャーン等、ちょっと漫画チックな感じですが観る人に違和感無く、すーっと入ってきます。

おそらくダブル主人公と言って良いとは思うのですが、ラーマとビームのおじさん二人が繰り広げる友情、苦悩、対立、苦悩、感動のラスト…と行きつく島もなく展開していくのでトイレに行くタイミングなんぞは本当にありません。だからこそ、途中のインターバル(INTE”RRR”VALの文字が良い)はやっぱり設けてほしい、これは切なる願い。ここで損する人を出してはいけないと思ってしまうくらい、無駄な場面がないのです。

RRRを観ていてちょっと面白いなと思ったのは、運動会(体育祭)を彷彿とさせる場面がちりばめられている点です。前半部分にビームとラーマが自他ともに認めるバディになっていく過程が描かれるのですが、巨大な人間タワーを二人が登り、てっぺんにある謎のスイカっぽいものを叩いて割ったり、子供たちと綱引きをしたり、肩車(二人騎馬戦?)する場面が続きます。我が家の娘の学校も体育祭が5月開催なので、ちょうどこの応援上映を観た時期が重なったこともあり、え!これ運動会じゃん!と容易に結びついたのでした。そもそも運動会や体育祭って根っこに国威発揚の要素があったりするので、RRRはイギリスの植民地支配下にある1920年のインドを舞台とした解放運動の話だということを考えればこれらの運動会的なシーンが盛り込まれているのもある意味納得です。特にエンディングテーマ”Sholay”は底抜けに明るい曲調とダンスで仕上がっていて”ナートゥ”と共に私が大好きなパートなのですが、こちらも反英闘争を戦った指導者たちをたたえる内容が含まれていたりして国威発揚の成分がやや多めではあるんだけど、そんなことはぶっ飛ぶくらいに最高にハッピーな大団円を見せつけられます。ちなみに、多くの日本人にとってインドの独立指導者といえば教科書で習うマハトマ・ガンディーが有名なのですが、”Sholay”には登場しません。「非暴力、不服従」を提唱した彼とはストーリー的に合致しないですもんね。

それと、映画を観ていて引っかかっていたことなのですが、
劇中でラーマが言う、

「責務とは行為にある。その結果にあらず。
行為の結果を動機とせず、結果に執着するな。

私は結果を求めない
飢えた我が血の最後の一滴まで
責務に向かって突き進むのみ」

というセリフ。これが難しく、私には理解できなくて、いったいどういう意味なのかなーと思っていたのですが、これはヒンドゥーの叙事詩『マハーバーラタ』第6巻にその一部として収められている聖典バガヴァッドギーター2章47節の
「あなたの職務は行為そのものにある。けしてその結果にはない。
行為の結果を動機としてはいけない。また、無為に執着しては
ならぬ」という一節が元になっているようです。

結果にとらわれず、無心に行動すべき、と。

実は、私の座右の銘が「人生は行動だ」なのですが、まさにこれじゃん!と目から鱗でした。でも、すでに私もアラフィフで、結果にコミットしないことはやらない傾向が強くなっている今日この頃です。思い返せば昔の私は人から何を言われようが結果なんか考えずに夢中でやり続けていたじゃないか、いつからコスパだのタイパだのと世間の潮流にも流されていたのか。これではいけないな、と、あらためて反省した次第です。

RRRは予備知識ゼロでも全く問題なく超絶楽しめるし、知識がある人には考察しながらもっともっと楽しめる間口がひろく、そしてとても意味深い映画だと思います。私はRRRを観てインド神話に俄然興味が湧きましたし、心のどこかでちょっと敬遠していたインド映画も観るべき選択肢のひとつになりました。これはもう、S・S・ラージャマウリ監督の過去作も観ないといけませんね。観ない理由がもはや無くなりました。

書きたいことが多すぎてまとめ切れず、この記事をnoteの下書きに放り込んでいて早くも一カ月以上が経つのですが、つい先日(2023.6.25)、シアタス調布にてRRRのIMAX上映に滑り込むことができました。これでじつに視聴回数3回目(3R)と相成りました。IMAXで観られるところが少なくなってしまったので、案の定好評なのか、延長上映がされているようです。お住まいから可能な距離にあれば、是非ともスクリーンも音も大きくて美しいIMAX上映館に足を運んでいただきたいです。SNSでファンの方がおっしゃっているという、”人生は『RRR』前か後の2種類しかない”という言葉は言い得て妙です。あなたのエンタメへの価値観を大きく揺り動かす、そんな作品であることは間違いないと思います。


買い集めたRRRグッズの一部💛

<参考文献>
①大谷大学 教員エッセイ読むページ きょうのことば - [2013年07月]

②山田玲司のヤングサンデー【後編-390】 絶対に見たくなる最強インド映画「R R R」超解説!〜インド哲学講師・師岡絵美里と語る「RRR」とインド神話、その恐るべき構成と見れば元気になる理由
https://youtu.be/9FTHiPGGi7Y


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