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骨折物語 その8 ~手術から術後の様子~



#私自身が自身の足関節骨折で 、観血的整復固定術(腰椎麻酔)を受けた時を振り返り、看護介入の問題点と介入視点を明らかにしてみました。

#看護学生必見 #局麻手術患者の急性期看護


術中

#手術中の体位保持用具による骨盤圧迫による局所の圧迫による 『苦痛』

#手術に関する 『不安』(血圧の上昇)


術後

#観血的整復固定術による組織損傷による 『急性疼痛』

#身体的 (痺れ・疼痛・浮腫)に伴う『安楽障害』

#手術 (外科的処置)に伴う『組織統合性障害リスク状態』(左足背の知覚鈍麻(痛み刺激、触覚)、浮腫)


つらい時こそ、心落ち着く空間を作りたい

【手術室入室から手術が終わるまで】

手術室には午後5時ごろ、私は車椅子に乗せられ、夫が付き添い病棟看護師の誘導のもと、手術室に入った。


〈患者確認から手術室〉

手術室ロビーでは自分の名前と生年月日を聞かれ、腕に付けられたバーコードの印刷された、識別リストバンドのスキャン、手術部位の質問を看護師にされ、その後、手術室に入った。

手術台の方向に車椅子を寄せられ、

看護師『ひとりで立てますか』

と声をかけられた。

私は、右足で立ち上がった。

手術室の看護師は手術台に足台を重ね2段の階段をこしらえ、私に一段昇るように声をかけた。1段目は看護師さんの肩を借り右足で踏切、ジャンプをして上がった。2段目は、手術台に両手をつき上体と腕の力で上ることができた。

その後は手術台の上に寝かせられ、血圧が測定された。結果=収縮期血圧160mmHG。

自分自身では平静を保ち動じないようにしようと思っていたが、意に反し身体の反応と言うのは実に繊細で、正直だった。やはり血圧の上昇と言う形で私の緊張感を示していた。


〈室内の様子〉

手術台に横たわった私は、周囲を見回すと、右側には時計が5時を指していた。左側にはシャーカステン(=Schaukasten とは、 医療 や工業的な非破壊検査において レントゲン 写真等を見る際に用いる 蛍光灯 の発光を備えた ディスプレイ 機器。)があり、私の胸部のレントゲン写真と足のレントゲン写真が並べられていた。


〈局所麻酔 腰椎麻酔〉

手術室内には主治医が待機しており、すぐさま腰痛麻酔の準備を始めた。

骨盤の骨がわかるように、私は右側を下に横向きに寝かされ、手術台の上で海老のようにおへそを見て丸めさせられた。医師は私の骨盤に指を当て、腰椎麻酔部位を特定し、麻酔薬の注入部位を確認していることが想像できた。

第4腰椎周囲の消毒を、中心から外側に円を描くように消毒薬のしみた綿球で行い、次に麻酔薬を腰の2カ所に注入した。

医師は、 

『少しチクリとするのを我慢して下さい』

と言った。

背中は、注射される当人がその瞬間を確認できないことから、針が体内に刺さる瞬間、どうしても体は痛み刺激にびくつきとして反応し動いてしまう。腕に注射をされる時とは、まったく予期できないときの反応があることを自分自身知ることとなった。

注射器で腰椎麻酔の針と薬剤を注入する前段階の局所麻酔を終え、腰椎麻酔薬の注入を体が受けていることを腰が押される感覚でわかった。

次第に私の足はしびれが現れ、温かくなる感覚とともに、次第に自分で自分の足を動かす事はできないと言う状態になった。

医師看護師は、冷感刺激を胸部、腹部、腰部、大腿部、下肢下腿、足趾にあて、麻酔の反応を確かめた。

光と影で見え方が違う 心の天気は自分で決められる


〈手術操作に必要な滅菌範囲の確保〉

麻酔終了後、身に付けていった寝衣はすべて脱がされ、私の尿道から膀胱まで、排尿管理をするためのバルンカテーテルが挿入された。

排尿管理をするということは、体内に注入される点滴と体外に排泄される排尿との体内に入る水分と排泄される尿量とのバランスを管理することを言う。


手術操作を行うがために、私の身体が手術台から落ちないように、様々な固定具で支えられた。次いで、足にメスを入れ血液の流出を最小限にする目的で、私の左足の血流を一旦体の中枢に集めるため、麻酔で感覚を失った左足が医師に支えられ、手術台に天井を見ながら横たわっている私の目前に掲げられ3分ほど、自分で足を見つめた。

医師から看護師に、

『タニケットを巻きます。圧力300mmHg』

と指示がなされていた。

タニケットと言うのは、血圧計を測定する時に腕に巻かれるような道具で、足に巻くと言う物品である。使用目的は、私の手術する足に通っていた血液を、下肢を挙上することで体の中枢に戻し、その後足を300mmHgの圧力で圧迫することによって、手術患肢への血流を遮断する目的で使用し、手術中の出血を防ぐことである。

すべて行われている処置に交わされる会話、物品名は、局所麻酔下で意識のある私の耳から入り情報は脳裏で解釈され、今自分の身体に何がなされているのかと言うことが理解できた。


タニケットと体幹の固定が行われ後、私の身体の上には手術中の滅菌操作の範囲が確保できるように、滅菌の布を何層も重ね覆われた。


〈患肢の整復固定〉

私の足関節、3箇所の骨折部位の骨を、それぞれ正しい位置に整復し、その位置を保つためにプレートを挿入しネジで固定する機械のモーター音が聞こえた。

1カ所約45分かかっていることが、顔を右に向けると時計で確認することができた。


医師が整復固定の処置を終えると、レントゲン技師がX線透視で私の足の骨を映し出し、医師は確認後、ネジで固定を行った。このレントゲン撮影した画像は、即時にシャーカステンに反映され、私が左を向くと今自分の足に何が挿入され、何本のネジで固定されているのかを確認することができた。


と言うわけで、手術室に入室した時点ではかなり無意識下の緊張感が血圧上昇という現象で思い知らされていたものが、手術がいざ始まり痛みの出現もなく手術部位により費やされる時間を知り、画像も確認する余裕もあって、私の血圧は110から120台に落ち着いていた。これも、頭上右側に置かれた生体反応を示すモニターを見ることで、自分自身で把握できた。


〈手術中の苦痛〉

手術中の苦痛は、麻酔下にあり、局所が麻酔した患者が手術台から落ちないことを考慮した、身体の固定具によりもたらされた。この固定具は、骨折部位の整復と手術によって、私の体の向きや足の向きを変えるために必須の用具である。

私の身体は手術台に天井をまっすぐ見るように横たわった体制から、身体の左に体重をかける横向き(左側臥位)の体制に変えられた。このような体制を患者に取らせる際には、身体がベッドから落ちないように左右の骨盤を固定し、ベッドから転落しないように緩みなく固定され、この固定具の圧迫が身体に食い込むほどきつく感じ、気分不快を感じていた。手術後半のこの苦痛が、手術中の儀ない記憶として残った。


手術室看護師が

『どこか気になるところがありますか?』

と言う声をかけてくれた。


私は、

『骨盤あたりの固定具がきつくて少し気持ち悪い。』

と言う事を伝えた。

この伝えた時点では、手術体位から固定具を緩める事はできなかったが、手術部位の整復固定が終わった時点で、私の身体は水平に戻っされ骨盤の固定が緩められた。


骨折部位3箇所、すべての手術をしている間、手術室看護師さんは、私に対し頻繁に声をかけてくださり、どの部位をどのような処置をし、順調に進んでいることを説明し落ち着かせるようにかかわってくれた。

『今、傷を洗浄してこれから縫うところです。』

『手術が終わったので、消毒を落としてます。』

『これから病棟に戻ります。』

など、都度、都度。進捗状況や何をしているのかと言うことを説明してくれたので、特に不安を抱くことなく手術を終えることができた。


手術室を出る時点では私の足はまだ麻酔が効いていて、自分で足を動かすことも不可能で足の指先までしびれていると言う感覚がある以外、知覚も感じることなく、手術室からベッドに横たわったまま、病室に戻た。


手術室を出る時点で、夫と顔を合わせ、一言

『お疲れ』と言葉を交わし、私は病室へ、夫は医師の手術説明を受けた。


手術経過について医師から説明を受けた夫は、その結果を私に病室で伝え、翌日退院予定の私を迎えに来る時間を9時に設定し、帰路に就いた。


手術室入室から、手術中の様子と病室までの経過について書き連ねたが、この数時間後、手術の痛みは、予想をはるかに超えた波となって、私を襲った。

それは、骨折物語 その9に続く・・・。

2021年1月4日(火)
                                MILK

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