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エネルギー持続可能な音楽家になるために

『こんなにも疲れるなんて!こんなにもエネルギーを使うなんて!』
『頭も体力も一杯一杯でついていくだけで必死。』

イリヤンや私の下で学び始めたばかりの生徒さんたちが皆一様に口を揃えて言うセリフです。逆に言うと、多くの人々は、それくらい大きなエネルギーを使って演奏するということに慣れていない、ということでもあります。

けれどもしばらくして演奏技術が安定してくると、大きなエネルギーを生み出すことにも慣れていきます。体にエネルギーが循環するようになり、より大きなエネルギーを扱うことができるようになります。

そしてその状態が通常運転になれば、エネルギーを長時間生み出し続けることが可能になるのです。器楽奏者であれば、5〜6時間ぶっ続けで練習しても、疲弊することなく演奏し続けられるようになります。

当然、演奏家としてだけでなく、人間としても元気になります!!

とは言っても、ここまでのプロセスには時間がかかります。筋肉を目覚めさせ、筋肉をアクティブにするためには、正しい体の使い方を学ぶ必要があります。また、音楽の中で様々なことを同時に行うためには、瞬発力や機敏さも必要です。思考が明晰な状態で、神経がシャキッと目覚めていなければいけません。

『Go ahead!! 』
続けなさい、前へ前へ押し進めなさい。

イリヤンがレッスンでよく言うセリフです。というのも多くの生徒さんは、ちょっとした隙に、エネルギーを生み出すことを止めてしまうからです。

音楽はモーションです。緩急ある流れの中で、流動的に進んでいくのが音楽です。エネルギーを止めてしまうということは、その動きをピタッと途絶えさせてしまうことです。

小刻みに、動いては止まる、動いては止まる、ということが癖になっている人はとても多いのです。

私自身、どうしてなんだろう?とずっと思っていました。そこで気づいたことは、そういう生徒さんたちにはレッスンを受ける姿勢に共通点があるということです。

それは、レッスンの中で先生に何か言われると、先生の指示を聞くことに意識を取られて、演奏を止めてしまうということです。

これは日本ではよくある傾向のようにも思います。目上の立場である先生が喋っているときは、きちんと聞かなくてはいけない、と教わってきているからかもしれません。

けれども、上下関係の倫理観は一旦傍に置いておいて、音楽家として成長していくためには、レッスンを受ける姿勢も変わっていかなければいけません。受け身でただ言われたことをやるというだけでは、変わっていけないのです。

先生に何か言われたとしても、音楽の流れを止めることなく、指示を聞きながら演奏を続けるというのも大事なスキルです。

音楽が流れている間でしか、改善できないことがたくさんあります。伴奏の前奏部分から、呼吸のタイミングの取り方、どの筋肉を緩めてどの筋肉をアクティブにするかまで、技術的な指導は始まってます。演奏が始まってからは、音楽をどのように動かすのか、そのために必要な技術指導まで、全てを動きの中で指導していきます。

生徒さんは先生の指示を聞きながら、瞬時に演奏に反映させていかなければいけません。だからこそ、神経がシャキッと目覚めていなければ、様々なことに反応ができないのです。

体の使い方、呼吸、音楽の全てが、バラバラのピースではなく、ひとまとめに統合されていなければ、全てのことをやり遂げることはできません。

よく「あの子は才能があるね。才能がないね。」という言葉を耳にします。けれども、まだ技術を正しく教わってもいないうちから、先天的に才能のあるなしを言うのは違うと思います。

音楽の才能があるってどういうこと?と尋ねられたら、私なら、『力強いエネルギーを淀みなく維持し続けられる技術を持った人』と答えます。

きちんと教われば、断片的になら、正しい技術と美しいサウンドで演奏できる人はいるでしょう。けれども、それを音楽全体を通して維持し続けられる人であるためには、そこには才能が必要なのかもしれません。

いずれにしても、才能とは最後にキラッと光るものであって、それまでの気づきや、正しい努力の積み重ねなしには開花しないものです。

どれだけ良いレッスンを受けて、どれだけ素晴らしいことを教わったとしても、それをやるかやらないか、やり切れるかは、自分次第です!


シャキッ!と目覚めていきましょう😊

最後まで読んでくださってありがとうございます。

今日も良い1日を😊

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