第60話 外資系証券会社の空売りの仕組み(モルガン、UBS、Barclays、GOLDMANなどのプライムブローカー)

外資系証券会社の空売りの仕組みについて説明します。

よく上記の外資系証券会社の空売り残高を見て、ヤフーファイナンスの掲示板などで「憎きモルガンめ」「モルガンなんて焼かれちまえ」「またモルガンが空売り入れたわ~馬鹿ね」なんて、色々と個人投資家の書き込みが目立ちますが、よくする勘違いについて詳しく説明したいと思います。

今回は、「貸株」、「プライムブローカー」を理解した上で、「外資系証券会社の空売り」をわかりやすく説明します。

まずは貸株について説明します。

▼貸株 株主が保有する株券を一時的に貸し出す制度で「株式レンディング」とも言う。貸し手は銘柄や貸出期間に応じた貸株料を借り手から受け取る。長期保有する株券を有効活用する手段として、大株主、保険会社、年金、投資信託などが利用している。証券会社が機関投資家などから株券を集めてヘッジファンドへ融通している。

つまり、外資系証券会社は大株主、保険会社、年金、投資信託から株を借りていることになります。その他にも証券会社間でも株を借りることができます(一般に又貸し、転貸と言う)。

次にプライムブローカーを説明します。

▼プライムブローカーとは、主にヘッジファンドや機関投資家向けに、取引の執行、決済、資金調達、証券の貸借、リスク管理など、投資運用に必要な様々なサービスをワンストップで提供する金融機関のことです。

役割ですが、へッジファンドから取引の指図を受け、証券取引の執行、決済や融資、有価証券の貸付を行うことがプライムブローカーの役割です。信用の供与も行うため、ファンドの運用に欠かせない役目を果たします。

つまり、名義上は外資系証券会社が空売りをしているようになっていますが、実際はヘッジファンドの依頼(取引の指図)を受けて空売りをしているというのが実態です。(正確には外資系証券会社のプライムブローカー部門という言い方が正しいかもしれません)

下記はモルガン、UBS、Barclays、GOLDMANなどの外資系証券会社が空売りをしているイメージ図になります。※図はhttps://marketmaker7.com/wp-content/uploads/2023/01/2-scaled.jpgより引用

わかりやすくいうと下記の流れになります。

1.ヘッジファンドがプライムブローカー(モルガン、UBS、Barclays、GOLDMANなどに)に空売りを依頼する

2.プライムブローカーは大株主、証券会社、保険会社、投資信託などから株を借ります(貸し株)

3.ヘッジファンドが指示してプライムブローカーは株式市場で空売り(貸し株の売却)を行う

4.株価が下落する

5.ヘッジファンドが指示してプライムブローカーは株式市場で買い戻し(貸し株の買い戻し)を行う

<<結論>>
空売りに関しては、ヘッジファンドや大口投資家がプライムブローカーへ指示をして、空売りを行っているということになるので、外資系証券会社はあくまで仲介の立場になり、外資系証券会社の意思で空売りは行っていないということになります。

※ヘッジファンドの説明については第63話をご覧ください。




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