In Bloom

桜が咲きだすといよいよ春だなと感じる。もとい、ここ数日はいわゆる「花冷え」で、「もうこんなものはいらない!」と投げ捨てたコートをもう一度出すか迷うほどである。

大学を卒業した年-もう4年も前になるのか-に初めて開催した仲間内での集まりを今年もやった。初回開催の時は2020年。丁度あのウィルスが流行り始めた頃だ。
今でも覚えているのは、1月くらいに友達と話していたこと。
「なんかヤバいウィルスが中国で流行ってるらしい」「でもインフルエンザより弱いらしいよ」「騒ぐほどのことなのかねぇ」
あの時はまさかその後数年にわたり世界を巻き込むとんでもないパンデミックになるとは考えもしなかった。

2月の末に僕らは無事に卒業論文の報告会を終えて、次の日には卒業旅行へと向かった。成田空港の第3ターミナルから朝飛び立った飛行機は無事に那覇空港へと着陸。2月の沖縄は東京の寒さなどどこ吹く風といった調子で、浮かれまくってアロハシャツを買った。
その頃も少しずつ件の病原菌のウワサは流れてきていて、クルーズ船がどうだとか、不穏な空気が立ち込めていたが、僕らはとにかく遊び尽くした。
国際通りの居酒屋で飲んだり、大量の人ごみの中でジンベイザメを見たり。(せっかく水族館に来てるのに鍛えてる友達がプロテイン飲んでて爆笑した記憶がある)なんならまだ2月なのに、暖かくて、浮かれてしまって、普通に海とか入ってしまった。「こんなに幸せでいいのか」と思ったりして。とにかく良い日々だった。

そんな最中に、いよいよをもってあのウィルスが日本でも広がりそうだというニュースが。伴って、卒業まであと1ヶ月しかない我々の学生生活は、「今週末を持って基本的に学生の登校はなし」との一報によって急激に短くなった。
その反動からか、僕らはとにかく遊び尽くした。人が集まるのは避けなければいけないと、さすがに小さなライブハウスで行うライブは中止したが、公園に集まってピクニックをしたり、寮でBBQをしたり。
「屋外ならいいだろ」みたいな、(本当は全然良くないのだが)謎の自信があった。

ほどなくして3月に入った。あの年は不思議と暖かい日が多くて、カウントダウンが始まった学生生活を(かなりの制約はあったが)満喫すべくたくさん外に出た。
花見の時期になると毎年思い出す。初回開催時はまだ花なんか咲いてなかったけど、ただ集まって酒を飲んだだけで十分だった。

来年もまた集まることができるかな〜。今はまだわからない事が多くてどうにも分からない。「絶対集まろうな!!」みたいなのって、中々大人になると難しい。でも「難しい」を言い訳にするのも悲しい。桜の季節になってそんなことを思う日曜の朝であった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?