見出し画像

起業の準備

本格的に起業を決意した後、準備期間として約1年を使いました。
準備自身の時間ということもありますが、実際にはその時に勤めていた会社を辞めるタイミングから逆算したという方が正しいかもしれません。

この期間、いろいろなことを並行して進めたのですが、最初の半年ぐらいは、会社法、会社設立に関する事務手続き、社会保険関連、税金関連など、会社の設立や運営に必要な基本的な知識についての整理をしていました。これらは、以前からちょこちょこと調べてはいたものの、頭の中で体系的に理解ができていなかったので時間を使ったのですが、それらがおおかた整理できた後、残りの半年ぐらいで具体的な内容、即ち、登記や事務所関連の調査、詳細な事業の検討およびその計画(簡易PL)などを固めていくという流れでした。

この起業準備中は、かなりワクワクして心がときめき、ああでもないこうでもないと妄想を膨らませていたものですが、今考えるとそれほど時間を使うこともなくさっさと会社を作ってしまえば良かったとも感じており、それほどこの時期に考えることなど大したものではないということです。
一旦決意したら周囲に迷惑を掛けない範囲で即実行に移し、走りながら考えていく方が良いのではないかと思います。

 これらの中で、比較的共通の話題になるであろうと思われる事柄に関して述べていきたいと思います。

1. 会社設立作業を自分自身でやるか?プロに任せるか?
結論として、基本的な事項を決めるのに自分の時間を使い、その後の登記までの作業を行政書士に頼みました。
会社の定款作成や登記事務を自分でやるのはそれなりに興味深い経験ではあるのですが、会社の設立日を決めており、そこまであまり時間が無かったことやその時間を顧客へのプレ営業に使いたいという気持ちが強かったためです。

なお、登記費用は総額¥26万ぐらいでしたので、自分で全てをやるよりも高いとは思います。ただ、その時間をプレ営業に費やしたことで会社設立からすぐに仕事が取れることになったため、時間を買ったという意味では安いものかなと思っています。

2. 株式会社か?合同会社か?
自分も起業の準備期間には「株式会社と合同会社とどっちが良いのだろう?」という疑問を持ち続けていたものの、会社設立の寸前で他の会社から出資をして頂くという話になったため株式会社を選択した経緯があります。(合同会社では議決権の関係上、出資をして頂けなかったため)

数年後、出資して頂いた会社から株式を全て買い取ることで自分が100%株主になるのですが、端からそういう状態だった場合は合同会社にしていたかもしれません。

経験上、設立後、即ち、設立費用や日数を除けばどちらを選択しても大差がないという感覚です。
よく「合同会社は社会的な信用がまだ低いので仕事を受けられない場合がある」と言われることもありますが、これまでお付き合いさせて頂いたお客様からそういう言葉を聞いたことはありません。
ただ、法人と個人事業主との差については若干趣が異なり「個人事業者には発注できない」というような会社がいたのは事実です。

下記は両者のおおまかな違いをまとめたものになりますが、設立費用や登記までの期間に違いがあるものの、設立後の一番大きな違いは肩書ではないかと思えるぐらい大きな違いはありません。これは、小規模企業でしかも1人企業をやっているため、実質的な違いがほとんどないためと思います。

株式会社
設立費用:約20万円~25万円
登記までの期間:2週間ぐらい
肩書:代表取締役
議決権:株主の割合に応じる
社会的な信用:あり

合同会社
設立費用:約6万円~10万円
登記までの期間:5日ぐらい
肩書:代表(社員)
議決権:自由に設定できる(定款自治)
社会的な信用:ない(とは感じない)

3. 会社名
起業の準備をしている最中はいろいろな会社名の候補を考え「ああでもない」「こうでもない」とおおいに悩んだものですが、会社設立後は正直どうでも良くなってしまいました。

起業に際しては、皆いろいろな「想い」がありますので、その考え(理念)を会社名に盛り込みたいという感覚はあると思いますが、実際、会社を設立して走り始めると、どうやって事業を継続し安定化させるかということで精一杯になりますので、正直、会社名のことなどどうでも良くなってしまいます。

人それぞれなところがありますので、自分の考えが普遍的に正しいなどツユ思っていませんが、自分は「こういう会社にして社会に貢献したい」と言った「経営理念」についてはあまり意識がなく(正直、どうでも良い)、順調に成長し余裕のある会社が後付けで決めるもの程度にしか考えていません。

小規模企業、ましてその最小単位である1人会社ごときは、お客様が困っていることを解決したり欲しいものを提供したりしてメシを食わせてもらえれば良いのです。

それでも、敢えて言うなら人から覚えてもらいやすいとかWebで検索されやすい、リスト化された時に目につきやすいところに配列されるとか、そういうテクニカルな部分では検討してみても良いかもしれません。

また、これはあくまで自分の感想でしかないのですが、会社設立時に最先端であるもの、例えば、自分の場合は電気電子系の畑を歩んできましたので「メガ」とが「ギガ」というような単位などを会社名に入れるところが多いのですが、10年ぐらい経過するともはや古い印象になってしまいますのでどうかな?という感じです。

いずれにしても、会社名はいつでも変更することが可能ですので、ある程度気楽に考えても良く、準備期間の時間をムダに遣わないようにして方が得策です。目的はいかに事業をうまく進めるかですので、あまりハマり込まない方が良いでしょう。

4. 事業計画
事業計画についても、準備期間に「ああでもない、こうでもない」と言いながら時間をかけて作った記憶がありますが、200%その通りにはなりませんし、起業後に見直したこともありません。
実際のビジネスとはそういうもので、結局「絵に書いたポチ」ということです。ただ、自分以外の出資者がいるとか資金調達のために銀行からお金を借りる場合などは、餅でもポチでも良いので数字の羅列が必要になると思われますので、さっさとそれっぽい数字を並べておけば良いのではないかと思います。

これについても、ハマり込んでしまい、机上のクーロンのために無駄な時間を使わないように注意した方が良いです。

5. 実は一番大切だろうと思うこと
以上、これまでは新しく作る会社のことについて述べてきましたが、最後に別の観点でとても重要なことがあり、それは、現在勤めている会社の出口、即ち「いつ辞めるのか?」ということです。

自分の場合、前の会社がベンチャー企業だったこともあり、経営のみならず多くのことを経験させてもらい、感謝の気持ちを持って円満退社しましたが、人によっては会社に対していろいろと不平、不満を抱いているかもしれませんし、それが起業の動機になっている場合もありますが、毎月決まった日に給料が貰え、さらにボーナスも支給してもらっていたことには感謝すべきであり、毎月きちんと給料がもらえることが何と安心できることかということは起業後に身に染みて感じることです。

また、自分で会社を始め、給与を支払う立場になると、給与のみならず社会保険の折半分や事務所の経費、その他いろいろな支出があることを実感し、これまで働いてきた会社がそれを負担してくれていたことに気づくと思います。

よって、絶対に「円満退社」をすることが基本で、起業に際してこれから新しい世界へ飛び込む門出に後味の悪いことをすべきではありません。
世間(業界)は自分が思っているいる以上に狭いもので、噂はあっと言う間に広がってしまいますので細心の注意を払い「綺麗に辞める」ことを心がけておくようにすべきです。

また、逆に「自分がいなくなったらこの会社はどうなるのだろう(ダメになる)といったような慢心も無駄です。大企業でなくともそれなりの会社は自分が思っている以上に強固であり、誰が辞めたところでビクともしませんので。

自分の知り合いにも会社と揉めて半ば逃げるように退社していった人や、会社を辞める際に資料や文書を持ち出して、後から大揉めになった人など、円満に退社できずに起業をした人がいるのですが、法的なことを含め、余計なことに時間や労力を使い、最終的には会社を潰してしまいました。

会社を辞める時には絶対に綺麗に辞めましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?