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【小説】偽幸の追求:プロローグ

ケース13

『私は12人を手に掛けました』

右手には輝くような螺旋階段
左手にはグツグツと煮えたぎり見てるだけでも汗を掻くような
マグマに落ちる洞穴

まさに今私は裁かれているのだ

死ぬ前にはさぞかし恐ろしい存在に会うんだろうと思っていたが
そこには長身でスーツの似合う白髪の紳士がいるだけだった
名札の置かれた大きなデスク越しに会話する。
「閻王様、私は地獄に落ちるのでしょうか」
「閻王......そうか君にはそう見えるか」

少し間を置き、続ける
「地獄と言ったが厳密には地獄ではない。もちろん螺旋階段も恐らく君の思っているものではないだろう」
「そうなんですね、教えていただき光栄です」
「そして君の問いに関してだが、まだ分かりかねる。なんせ君のような人間は珍しいのでな」
珍しい?
「次はこちらから質問させてもらおうか、君は12人を手に掛けたがその動機はなんだね」
動機......か


弓を引いたような沈黙が包む
しばらくの沈黙
口を開く
「幸福ですかね」
閻王様の怪訝な表情はどこか悪魔のような雰囲気をほのかに感じた
「続けなさい」
「あっはい」
緊張しながらなんとか口を開いていく

「たしか中学の頃でしたかね......」

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