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【エッセイ】ある傘の話






そんな日は必ず思い出すことがある

幼少期の私には
お気に入りの傘があった

ポンチョを着ていても
降っているか判別がつかない小雨でも
もはや降っていなくても
必ず持ち歩いてた

ある日いつもの様に
お気に入りの傘片手に歩いていた
不意に吹いた9月の風は
いとも容易く傘を打ち上げた

宙に舞うお気に入りを
ただ眺めてた

それはなんだか幻想的で

やがて消えてしまった


私は何もわからず
手と空を見て
記憶に刻みつけた

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