山田と鈴木の無益な思考回路2

キーンコーンカーンコーン

「腹減ったー」
「やっとご飯の時間かぁ」
「なぁ、山田」
「んー?」
「さっき話してたことなんだけどさ」
「さっき?
 あー気まずくなる時の話な」
「そう、しばらく考えてたんだけどさ」
「まだ考えてたのかよ」

「いやぁさ
 『彼女の実家に初めて行った瞬間』
 についてどう思う?」
「瞬間ってどういうこと?
 玄関に入った時にお邪魔しますっていう時?」
「まぁその時の緊張感と期待感はすごいよな
 じゃなくて、
 例えばだ
 彼女の実家に無事入ったとして
 親が居るリビングに案内される」
「おう」
「そして、こう言われるんだ
 『適当にここら辺座っていいよ』って」
「あーなるほどな
 まず持ってして、ここら辺とはどこなんだ?
 そこの勝手がわからんしなぁ」
「それなんだよ」

「んで、しばらく考えて突っ立ってると
 彼女がこういうんだ
 『何で立ってるの?座ればいいのに』って」
「察しては欲しいな」

「んで結局、彼女が座ってるところの近くに座るんだ」
「しかも彼女とはほんの少しだけ距離をとって」
「そう」
「そんで座ってから色々考えちゃう
 まず、ここは座っていて大丈夫か
 足は伸ばしすぎてないか
 彼女との距離は親がいる手前近すぎないか
 どんな表情でいるのが自然なのか」
「未だに正解がわからん……」
「そんなもんだろ」
「確かに」
「って、俺ら全然弁当食えてないやん」
「やば、はよ食わな」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?