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【喫茶店 美来】2話『喫茶店再始動』

それから、働いていた会社を辞め、怒涛の毎日が過ぎていった。
今でも、あの時残ってくれた紗季ちゃんと里奈ちゃんには、
とても感謝している。
二人は結婚をして、それぞれの生活を送っている。
たまに二人は、お店に顔を出してくれる。
あの時の苦労は、今でもお店に来ると話す。

3人で、スタッフ探し、再オープンをした。
店長がわたしになってから、
正直、来店する子たちとぶつかってばかりだった。
ケンカをしたこともあった。
前の店長がいたらと何度も思った。
しかし、前の店長に自分がなることはできない。
紗季ちゃんと里奈ちゃんと、何度も励ましあいながらやってきた。

 集まってきた、スタッフメンバーとも、もめることがあった。
しかし、みんなで話し合いを重ね、
わたしたちにしかできないやり方で頑張ろうと
周りのメンバーが支えてくれた。
メンバーが入れ替わり、今のメンバーとなって5年がたった。

そのころには、再オープンから8年という月日がたっていた。
ある意味、落ち着いた雰囲気がお店の中に漂うになった。

今の職員を紹介しなければ。
 職員は、全部で7名

店長は、わたし
マイペースでなおせっかいな店長。
子どもたちが成長していくのがうれしい。
こども以上に楽しんで、子どもたちや葉月に注意されることも・・・

副店長兼料理長の『葉月』 わたしと幼稚園からの幼なじみ
しっかりもので、私が取りこぼした仕事を拾ってくれる。また、言葉足りずの私をフォローしてくれる欠かせない存在。

厨房担当の『玲香』 わたしと小学校からの幼なじみ
ASDでコミュニケーションは、苦手。だが、料理を作らせたら最強。
三つ星レストランにいた経験がある。
特にスイーツ作りは、玲香の得意分野。お絵描き大好き。
クマのぬいぐるみと一緒に出勤してくる。

厨房担当『雅治』も小学校からの腐れ縁
料理ができるのはもちろん、ギターやピアノなど音楽の腕もすごい。
音楽関係のスタッフとよく話している。
時には、音楽の先生のような音楽教室が始まり、
厨房に戻ってこないで、大輔に怒られている。

経理担当の『大輔』は、高校からの付き合い
頭がよく切れる優秀。効率を重視する一方、みんなの「あれがほしい・これ直したい」など様々な要望を聞き、
いつもお金のやりくりに、頭を抱えている。
PCや機械に強い。
PC関係の好きなスタッフたちと、わたしにはわからない呪文を、飛ばしあっている。

 ホール担当『葵』は、玲香の幼なじみ
【喫茶店 美来】の天使的な存在。怒ったところを誰も見たことがない。
前職は、カウンセラー。話の聴き方が武器。私自身、葵に何度助けてもらったことか。玲香が最大の信頼を置いている。

ホール担当『涼』は、大輔と幼なじみだ
スポーツ万能で、言葉足りずなところがある。頭で考えるより行動が先。
しかし、だれよりも、困ったときに何とかしてあげたいという気持ちが
前面に出ている。要するにいいやつだ。

その他、小学校5年生から22歳の大学4年生まで幅広い
ミニスタッフたちが出入りして仕事をしている。
わたしたち職員は、ミニスタッフたちが

① 自分が安心できる場所のこと、
② 自分が安心して好きなことに没頭できること
③ 自分が安心して一緒に過ごせる人がいること
  ができるような場所にしたいと思っている。
そして、それに加えて、
④ 自信をもって社会に出ることができる
  ような場所にしたいと思っている。

もちろん社会に出た後も、お客さんとして、
顔を見せに来てくれる人は多い。
 
最初の契約の内容にあるが、給与がお金の子もいれば、そうでない子もいるという不思議なお店である。

 さて、ミニスタッフとお客さん
そして私たち職員が、どのような日常を送っているのか
それは、次回。

<2話 おしまい>
©心空


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