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【喫茶店 美来】5-4『誰にも居場所はある』

「ライブを開いてみてはどうか」と
喫茶店の雅治・葉月・大輔が愛未を誘った。
「単独ライブなんて無理よ」とあっさり話は、終わってしまった。

周りで話を聞いていた、ミニスタッフたちは、
「愛未ならできるって」「愛未ちゃん歌うまいから」「観に行くよ」など
後押しする声があった。

しかし、愛未は
「人なんか集まらない。」
「そもそも顔出ししてないからイヤだ」と乗り気ではなかった。
だが、彼女なりに葛藤があったのだと思う。
なぜなら、様々な曲を練習しているからだ。その表情は、真剣だった。
喫茶店での練習後、通信制の高校に通い
「文武両道」だった。

日暮れがすっかり早くなったある日
「葉月さん・雅さん・大輔さん、あの話ってまだ有効ですか?」と愛未がやってきて、申し訳なさそうに言った。

「あの話ってなんだ?」と涼が言う。彼は意地悪で行ったのではない。
葵が「やるの!」とうれしそうだ。
玲香が「1年半前に愛未さんの単独ライブをやってみないか?という話ですよね」
愛未は、少しうつむきながら「はい」という。

葉月が「やろう!」
大輔が「音響と照明は任せろ」
雅治が「愛ちゃん、日にちは?」
愛未が「2月28日です。」と言って顔を上げた。

わたしは、「あと3か月もあるじゃない。色々準備できそうね」

それ以降、職員やミニスタッフたちと準備を重ねた。
SNSのフライヤーを大輔が作成し、
当日のイベント看板つくりは、優音くんと啓太くんで作成していた。
当日オリジナルメニューは、梨乃と翔が考えた。

この時、裏でサプライズが
計画されていたなんて、
わたしは知らない。

<続く・>
©心空