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告白 湊かなえ

 とにかく衝撃を受けた。
 夕方から読み始め,ぶっ通しで夜遅くまで読んで読破してしまった。
 登場人物全員がどこか狂気めいている。
 読み終わって,この小説は全て主観的に描かれていることに気づいた。章ごとに語り手が異なり,それぞれの章で事件の出来事をそれぞれの解釈で語っているので,それには当然感情が混ざり,事実が捻じ曲げられていたり思い込みが潜んだりしている。
 このことをふまえ,もう一度この作品を読み返したい。一つの出来事に対してそれぞれの人が何を事実だと思いどう認識しているのか,どのような感情を抱いているのかを照合したい。この作品は客観的な事実が一切描かれていないので,それを読者が想像できることが面白い。
 最後の先生の復讐劇にはゾッとした。子どもを殺害した犯人である生徒が一番狂気だと思っていたが,先生が一番狂気だったと思う。自分の復讐劇のために2人も亡くなっているのだから。先生がこの2人の親であったら誰にどのような復讐劇をするのだろうと考えてしまった。

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