見出し画像

職人の熱き志!トークショーが8/7・21追加となりました〜江戸型彫髙井章夫展

前回の投稿



・祈りの三部作

コロナ禍、髙井さんの東青梅の工房には生徒さんたちがほぼ来なくなってしまいました。

その間に彫り上げられた祈りの三部作、『祈り』『鎮魂』そして『新生』は今回の個展にも展示されています。

上の写真は『新生』
前回ご紹介したものと違い茶色なのは、仕上げの黒漆を使わずに、柿渋紙そのものの色だからです。型紙は和紙を柿渋で重ねたとても丈夫な紙を彫っていきます。

三部作の最後『新生』だけは、言うならば「素」のままで、作品となりました。それも私にはとても意味深いことに思えるのです。

人類の転換点から新しく生まれたのは、自然との調和、そのままの美しさ、そんなメッセージが伝わってくる気がします。


・技術継承のためには

この柿渋紙も大変な手間のかかるもので、今や一軒の職人さんが作られているだけだそうです。髙井さんが一旦職人の仕事から離れた時は何百人といた型彫り職人も16人になってしまい、皆さん高齢のため、技術も危機に瀕しています。柿渋紙や小刀や錐などの道具の技術も使う人がいなくなってしまえば無くなってしまいます。

そこで、還暦を過ぎて髙井さんは職人に戻り、後継者を育てるために立ち上がったのです。さらに後継者が食べていくためには市場も無くてはなりません。

そのため老若男女問わず、たくさんの人に知ってもらい、体験してもらう、そういう活動を広げるため、髙井さんがどんなことをなさっているのか?

私もまだ最新の活動のお話は聴いておりませんが、このトークショーでは夏の暑さも吹っ飛ばす髙井さんの熱いお志が聴けると思います。


トークショーは

7日14時から
21日16時からです。

両日月曜日ですが、ご興味ある方はぜひご参加くださいませね。

また今回の個展にはご都合つかない方も、東青梅の工房や都内、北海道などでもお教室を開かれたり、小学校で子どもたちにお話したり、各地で活動をしてらっしゃいます。インスタもやってらっしゃるので、ぜひフォローしたり繋がったりなさってくださいね!

型彫の小刀の切れ味は、カッターとはまた全然違います。最初は縁起の良い麻文様彫りますよ。本物のお道具での体験もぜひ!



・江戸小紋と紀州徳川家

江戸小紋とは、江戸時代大名たちが裃(かみしも、上下揃いの武士の正装)に用いた文様から始まりました。幕府が華美を禁じたため、「一見無地に見えるのに、傍で見るとすごい!」という精緻な文様なのです。

そのため高い技術が型紙の彫りにも染めにも求められました。

さらに諸藩がそれぞれ固定の柄を用いるようになります。代表的な江戸小紋「鮫」は紀州徳川家が使っていたもの。その型紙はとても細かな円をキリで抜いています。無数の丸い点が見事な文様を浮かび出させているのです。


その紀州徳川家の保護の元にあったのが伊勢の型紙。そこから全国へ売られていました。

型彫は伊勢鈴鹿の二つの村に生まれたものしかその技術を受け継ぐことができないという独占的な技術だったのです。

その村に生まれた髙井さんから、今は誰でも学ぶことができるようになったのですね♪


・故髙井正一氏の作品とその愛

今回の個展には、髙井さんのお父様の型彫絵も並びます。何十枚もの型紙を使って描かれたお父様の高い技を活かした作品です。本物を見るとその繊細な技にびっくりしますが、お父様が亡くなられ、ご実家も無くなってしまい、その型紙ももはや無く、その技法は今やわからなくなってしまっているそうです。

たくさん描かれたものも人にあげてしまっていたため、髙井さんの手元にある何枚かだけが残されたものだそう。

その中でも、髙井さんが特に気に入ってると仰っていたのが、親子の鹿の絵でした。近くで見ると鹿の毛並みまで再現されています。

私もいいなぁと思って見ていたら、ふと気付いたことがあり、そこに居合わせた髙井さんの娘さんに、髙井さんて三兄弟だったのですか?と聞いてみたら、やはりそうでした。

そう、鹿の姿だけれど、お父様はきっと御一家を描いたんだと思ったんです。だって、いかにも髙井さんみたいな子鹿ちゃんいるし♪

娘さんとも、きっとこの子が髙井さんだね〜って笑い合ってしまいました。

たぶんお父様は口には出してなかっただろうけれど、お父様の愛や慈しみがそこに溢れていました。



・個展の詳細


〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜

AKIO TAKAI KATABORI EXHIBITION
江戸型彫・髙井章夫個展

美しく優美な日本の伝統芸術「型染」。その中でも、緻密で繊細な文様を施した「江戸小紋」は、職人が競いあって到達した技術であり、そのデザインは現代でも美しく粋です。しかし、世界からも称賛される1200年続いたこの芸術も現在は衰退し、型彫の職人は平均年齢78歳で16人のみとなりました。職人の手で作られた物には「命が宿り」ます。私は、型紙を、一人でも多くの方に実際にご覧いただき、肌で感じていただきたく、この個展を開催しました。どうぞご高覧くださいませ。(髙井章夫)

☆会期 : 2023.7.24[月]~9.1[金] 10:00-17:00

  (※7月は日曜 / 8月より土日、14~16は休み)

☆会場:SEIWAギャラリー

  〒161-8552 東京都新宿区下落合 1-1-1

  TEL.03-3364-2113 seiwa-net.jp

  JR/東西線/西武新宿線・高田馬場駅 早稲田口 下車徒歩3分


〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜


前回の記事、「#このデザインが好き」で先週特にスキ♡を集めましたのお知らせがきました。見てくださった皆様ありがとうございます!

この記事が参加している募集

このデザインが好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?