見出し画像

【詩】渡り鳥

家の時計は小鳥が鳴く
秋の鳥の声は少し慌ただしい
こないだとある人と喧嘩した
その人はいらいらして
「君が小さくなっていれば
いじめられないのに。
マイノリティとは
小さくなって声を上げられない人のことだ。
君はマイノリティじゃ無い。」
と言った
私はその意味がよくわからなかった
少数派でも、声を上げて行ける
世の中をその人は求めていないのだ
「マイノリティとは少数派のことではない。
普通の人より下にいる人のことだ。」とも
その人は言った
私は訳がわからなくなった
とにかくこの人は、
私が大声で叫ぶのが不愉快みたいだった
この人は、小さくなってブルブル
震えている人なら救ってあげたいと
思っているのだろうか
それは、強い男性の勝手だ
差別でしかないと私は思ったけど
もうこの人と話すのは辞めた
殴られるだけだろうと思った
冬の鳥の声は大きい
ぎえぎえと叫ぶように鳴く
あんまり寒くて
別の場所に渡ってゆくしか
ないからだ



            初出 詩誌「とんぼ」第13号
              2021/12/10

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?