【詩】ミント色の靴
父とまたしても喧嘩して
しばらく会わないことにして
靴の裏をぺたんぺたんと
地面にくっつけて歩いていると
私はようやく自分の足で歩くことができた
どこまでも真っ直ぐに
一人きりで歩いて行くことは
自信はつくけれど
とてもとても頼りないことで
私は素直にボーイフレンドの前で泣ける気がした
暗い道路には信号の青が照り映えていたけれども
いつもの食堂は臨時休業だった
部屋の鍵をかちゃりと開けて
たらこと大葉のスパゲッティを茹でて
レタスと林檎のサラダに人参ドレッシングをかけて食べた
女友達に電話して
五分だけ愚痴ろうかなぁ
と思ったけど止めた
明日のデートに着ていく洋服を揃えて
手と足のマニキュアをきちんと塗り直した
詩集「スパイラル」
モノクローム・プロジェクト刊
2017/4/10
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