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冬の魚市場でオコゼ発見

一時帰国から戻ったカラチは冬、最低気温11度と日本の晩秋くらいでしょうか。建物は万事酷暑の夏向きの作りになっており、外気が24度もある昼間でも家の中がうすら寒く感じます。
今回は日本滞在が長かったのでギアチェンジに苦労するかもとゆっくりの滑り出しにしたのだけれど、海はベタ凪、魚のベストシーズンでもあり気力を振り絞って魚市場へ行くことにしました。

魚市場は、カラチ港の西端ウェストワーフの漁港に併設されています。初めて来た7月は完全に時期を間違えていて、港に至る穴ぼこだらけの悪路が水浸しであわや横転かとヒヤヒヤする目に遭いました。モンスーンで海が荒れて漁に出られる日も少ないとかで、魚も少なくちょっと骨折り損でした。しかも、ハエがすごい。それなら魚は冬に買い溜めして冷凍しておこう、と相成るわけです。

ゲートの外は、小さめの魚を売る店が多い、狙いの外道、雑魚もこちらに
魚の扱いはちょっと手荒かも……

若い頃からアジアの魚市場には慣れてるんだけれども、ここはなかなかハードシップ高め……です。それでも、3回目ともなると市場の仕組みもだいたいわかり、肩の力も抜けて魚探しを楽しめるようにもなってきました。何より、パキスタン名物、すごい目力の「ガン見」に慣れてきてる、私。おじさんたちの目力圧は高いけど、マスクがなければ笑顔も見えます。他意なく「見てるだけ」なんだというのもわかってきましたし、夫、ガード、ドライバーも一緒に歩いてくれるのでここは恐るに足らず、です。
加工場で働くと思しきアバヤ姿のお姉さんたちがちらほら、古めかしい建物に足早に吸い込まれていきます。買い物客、売り手には女性はほぼいません、家族連れを2〜3組見かけたくらい。

どいてどいてーっと、台車が行き交う

パキスタン人はほとんど魚を食べません。海の魚が手に入るのはアラビア海に面したカラチ住まいのご利益ですが、市中のスーパーで買える魚はほぼ種類が決まっていて(サワラ、マナガツオ、イシモチ、ハタ、キス、フエダイ、舌平目あたり。名前がわからない汽水の魚、川魚もある)、魚食の日本人としては少し飽きてもきます。
一方、この魚市場で働く人たち、市場の周りのコミュニティの多くはベンガル人なのだそう。インド亜大陸の沿岸地域にベンガル系の魚食の民が点々と流れ着いているんでしょうか。カラチに数多くあるベンガルコミュニティは1971年のバングラディシュ独立後の移民だといいます。

サモサ売りのおじさんも
フエダイは高値で取引される

ゲートを入ると「場内」なのか、大きい魚、商業的価値の高そうな魚の売り場になっています。船がびっしり停泊している水揚げ用の岸壁には、今がシーズンらしくイトヨリが山と積まれていました。この小さいイトヨリたちは業者が買い付けて加工場に運んで綺麗にしたうえで冷凍輸出されるそうで、行き先は関係性の深い中国かな。日本にも入ってきているのでしょうか。

仕分けしてどんどん運び出されるイトヨリたち

わざわざ魚市場に来るのは、スーパーでは買えない外道(こちらの人にとっては!)が手に入るから。この前はものすごく新鮮で大きなコウイカが手に入りました。コチも。今日は、オコゼを発見して大喜びです。そのほか、新鮮なインドサバと、イトヨリの大きいのを1kgずつ、さらにまあまあのサイズのマグロも購入、量ってもらったら8kgでした。漁の関係かマグロも冬しか見かけないように思います、これはすぐ隣のイラン沖から来たんだそうです。夕飯にはさっそく、オコゼの唐揚げと、インドサバの塩焼きをいただきました。オコゼ、美味。

マグロ砲だぞー
インドサバは日本のサバより薄くて小さく、脂も乗っていない。
次回は南インド風フィッシュカレーに挑戦したいな。
オコゼ発見! ひどい扱われようだけど……。

カラチに戻ってここ数日の新聞記事が暗すぎ(インフレ激化、エネルギー不足待った無し、大停電、ルピー急落、デフォルト危機etc...)てどんよりしてたけど、せっせと働く海のおじさん達にかえって元気をもらっちゃった、やっぱり港の風情みたいなのが好きですね。

いい季節、磯の香りも爽やか

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