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仮死

冷たい異物が痛覚を走らせる。
油断。
いや、違う。
刺される瞬間は察していた。
避けることも容易いはずだった。
とっさの私の判断は、刺されるのを望んでいた。
あの日以来、罪を償う事だけを考えて生きてきた。
だけど何かを成す度に実感していた。
私の罪は、例えどんな行いをしても、到底赦されるものではないことを。
本当の望みは、私の、私だけの神に、恕されること。
だから刺された瞬間は、ついにその時を迎えたのだと安堵に包まれた。

違和感を覚えたのはその直後。

幸い大きな血管に傷はついてない。
深く刺すほど力は馬鹿強いくせに、思考は私のよく知る彼女らしく、まるでデタラメで。
何かに操られているかのよう。
この違和感を探らなくてはいけない。
私が恕してもらうには、今は護らなくてはいけない。
私だけの神が、神であり続けるために。

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