影法師から目をそらさずに(終話)
ぼくは朝起きたらよろけたんだ
あれは夢だったのか……
その現実が受け止められなくてね
どすんと床に頭を打った
その時ギラリとした太陽の中に君の笑顔が見えたんだ
今度は意識はっきりしていた
頭を打って痛かったけど
夢ではなかった
しっかりした意識の中で君の声が聞こえたよ
そして目を開けたら
そこに影法師があったんだ
そして影法師には
君の匂いがした
顔をつけると
自分の顔が浴槽のように揺らいでいた
僕は涙をした
さようなら
こう言った
自分の過去に
君との思い出に
また君に会いたいよ
新しい自分になって
(了)
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