影の中の真実(第1話)

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夏の日差しが背中を射抜く頃、高校の校舎を出る頃、また強い影が後ろから私をつかまえる。

右手を動かすと右手の影が街路樹の薄影の中に、強く映るのが分かる。
左手をくるっと回すと、まるで大地震が起きたように影の世界が濃く揺れる。

昔からのことだ。
体を左右に振って歩いていると
「お前何やってるんだ」
小さい頃父に言われた。

「だって人にぶつかっちゃいけないから」
「どういう意味だ?」
わたしはびっくりした。
父にはその人達が見えていないらしい。

確かに父がそのまま歩くと、すっと消えてその方は父の体を通り過ぎていく。

通行人が普通の人が見えるよりよりいっぱいいるんだよ。
私は7歳のときに、親にも分かってもらえないことがあるのだと自覚した。

アスファルトに映る影が多い。
普通の人よりもずっと。

「パパにも見えないあなた方は誰なのですか」

いつも聞いていました。
ある日、影がアスファルトの地面からゆっくり起き上がって、寂しそうに私に口を開きました。

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